ドロップボールでの再開、混乱を招いた理由は? 主審にボールが当たったシーンを考察
【Jジャッジ考察】浦和対FC東京で「ドロップボール」を巡る混乱が発生
9月30日のJ1第29節、浦和レッズ対FC東京の一戦での「ドロップボール」に関するジャッジが話題となっている。本稿では競技規則と照らし合わせ、ジャッジの是非と背景を考察する。
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サッカーの試合中、審判にボールが当たってしまうことは決して少なくない。昨年のルール改正により、これが状況によって「ドロップボール」で再開されるようになった。
浦和対FC東京で話題となっているシーンは、後半4分の場面だ。左サイドからの浦和のクロスが跳ね返され、高く上がったボールを、浦和DF宇賀神友弥がダイレクトで前へ返そうとする。そのボールが福島孝一郎主審に当たり、少しコースが代わってFC東京DF中村拓海に渡った。
中村はダイレクトで前へボールを出したが、この時点で福島主審は笛でプレーをストップ。浦和側からのドロップボールの再開を指示したことに対して、FC東京の選手側は抗議することとなった。
競技規則上、ボールが主審に当たったときは「チームが大きなチャンスとなる攻撃を始める」「ボールが直接ゴールに入る」「ボールを保持するチームが変わる」の3つの場合にアウトオブプレーとなり、ドロップボールによって再開することになっている。再開位置は、主審にボールが触れた場所だ。この時、最後にボールに触れたチームの1人にドロップしなければならない。
今回のシーンでは、浦和の宇賀神が蹴ったボールが福島主審に当たり、FC東京側に渡った。競技規則に則れば、「ボールを保持するチームが変わる」に該当する。主審に当たったことで影響が出たのは宇賀神からのボールだったので、浦和のドロップボールでの再開が正しい。
しかし今回は「なぜ止めたのか」、そして「どちらのボールで再開するのか」で選手側に混乱が生じてしまった。福島主審に当たらなかったとしてもFC東京側にボールが渡っていた可能性もあったことや、笛が鳴った時点でボールが宇賀神に返ってきていたことで、ボールの所有権の判断が難しくなったからだ。FC東京の選手から不満が出たのは、こういった背景があったからだろう。
この試合の実況を務め、DAZNで配信される「Jリーグジャッジリプレイ」にも出演する桑原学アナウンサーも、この場面には自身のSNSで反応している。番組の次回配信でのピックアップと、より深い議論も期待したいところだ。