J1上位クラブは「ブンデスで残留できる」 元Jリーグ大物助っ人、日本の“レベル”に持論

オルデネビッツ氏から見たJリーグに対する評価とは…【写真:土佐堅志】
オルデネビッツ氏から見たJリーグに対する評価とは…【写真:土佐堅志】

アジアの外国籍選手を獲得するなら「若手の育成に投資すべき」

 オルデネビッツ氏に現在のJリーグについて、ぜひ聞いてみたいと思っていたことがあった。

 元ドイツ代表FWルーカス・ポドルスキ(現アンタルヤスポル)のヴィッセル神戸への移籍が決まった時、独紙「ビルト」は日本で選手と指導者両方の経験がある元西ドイツ代表MFピエール・リトバルスキー氏のインタビュー記事を掲載している。この2017年3月2日付の記事の中で、リトバルスキー氏はJリーグについて「素晴らしくオーガナイズされたリーグ。競技レベルはブンデスリーガ2部の上位クラスと同じくらいだと思う」と語っていた。このことが頭の片隅に残っていたので、リトバルスキー氏のJリーグに対する評価が正しいと思うかと尋ねてみた。

「リティの意見は、基本的には正しい。ただし、それはJ1で優勝争いをしているチームについて言えることであり、J1全体のレベルがブンデスリーガ2部と同等だとは思わない。鹿島(アントラーズ)や川崎(フロンターレ)のように優勝争いに加わってくるチームなら欧州のリーグに参加しても戦えるはずだし、ブンデスリーガであれば残留を勝ち取れるだけの力はあると思う」

 例えば浦和レッズからベルギーのシント=トロイデンを経て昨季シュツットガルトにレンタル移籍した日本代表MF遠藤航は、不動のボランチとしてチームを牽引し、ブンデスリーガ昇格に貢献した。さらには降格争いに巻き込まれたブレーメンに鹿島出身の大迫が所属していることや、今季開幕前にFC東京から日本代表DF室屋成がブンデスリーガ2部で昇格候補のハノーファーにレンタル移籍したことなども考えると、J1上位陣の実力はブンデスリーガ下位から2部の上位あたりだという同氏の意見には説得力を感じた。

 また、ポドルスキや元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタらを獲得した神戸を除けば、大物外国人選手が所属しているチームがなく、その意味では自身が現役だったJリーグ創成期に比べて外国人選手の質は低下しているという。加えて、近年ベトナムやタイなど東南アジア系の選手獲得がトレンドの一つになりつつあることについては、「個人的にはあまり良いことではないと思う。そうした選手たちにお金を使うよりも、若い日本人選手の育成に投資したほうがいい」との考えを述べた。

 これは、ブンデスリーガの各クラブはユースチーム専属のフィジカルコーチやアナリストを雇用するなど育成年代の環境整備に努めていて、それが多くの若手選手の素質開花に貢献しているという同氏自身の体験からくる意見のようだ。

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