“規格外選手”使用上の注意点 メッシ残留のバルサ、“空気を読まない”監督は危険な賭けか

“空気を読まない”クーマン、最悪の場合は再び「破壊者」に…

 イブラヒモビッチとタイプはまるで違うが、リオネル・メッシにも同じことが言える。“規格外の選手”であり、戦術の中に組み入れるのは難しい。メッシに戦術を合わせたほうが簡単で効果も期待できる。

 ただ、バルセロナはそれを続けてきて、ついに行き詰まってしまった。ロナルド・クーマン新監督には、メッシに頼りすぎずバルセロナの伝統を再建するという、歴代監督が実現できなかった難題が待っているわけだが、どこかルイス・ファン・ハールを思わせるクーマンは独自路線を押し出すのかもしれない。

 空気を読まないという点がファン・ハールとよく似ているクーマンなので、自分の思う通りにやるだろう。クーマンとメッシの関係は、ラングニックとイブラヒモビッチより難しい事態が想定される。自分の正義を貫くのに躊躇がないので、それが間違っていた時に周囲に与える被害は甚大だ。最悪の場合、クーマンはバレンシアを率いた時のように、チームの「破壊者」として名を残すことになりかねない。バルセロナはかなり危険な賭けを打ったのではないか。

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西部謙司

にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

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