“元得点王”の大物助っ人が語るJリーグ 「日本最高のストライカー」と絶賛した選手は?
「カズは動きにキレがあったし、テクニックも素晴らしかった」
当時のJリーグ、もしくは日本サッカー全般についての印象を尋ねると、オルデネビッツ氏はスタジアムの雰囲気にとても驚いたという。
「スタンドにいる観客の60%ぐらいは若い女性だった。そんな光景は、ドイツでは見たことがなかったから驚いたよ。あと、ジェフがホームゲームで0-3で負けてしまったことがあったんだけど、その時も試合後にスタジアムをチームのみんなと一周してサポーターに挨拶したんだ。それも経験したことのない出来事だったから戸惑った」
今でこそブンデスリーガの試合でも、スタンドに女性や子供の姿をよく目にするが、オルデネビッツ氏が現役だった1980年代から90年代にかけては男性サポーターしかおらず、ホームゲームで大敗しようものなら彼らから容赦ないブーイングを浴びせられるのが当たり前。その殺伐とした雰囲気の中で戦ってきた同氏からすると、黄色い声援が飛び交い、負けても選手たちに優しい当時のJリーグの試合の雰囲気は相当特異なものに感じたようだ。
また、「当時のJリーグで印象に残った選手はいたか」という質問には、「1人だけいたよ。たしかまだ現役でプレーしていると聞いたけど……」との答えが返ってきた。「それはカズヨシ・ミウラのことですか?」と聞き返すと、「そう、カズだ!」と言って、“キング・カズ”こと三浦知良について語ってくれた。
「カズは動きにキレがあったし、テクニックも素晴らしかった。本当に良いストライカーだったし、『絶対にゴールを決めてやる』という姿勢を前面に出してプレーしていた。他の日本人FWは、チャンスの場面で味方にパスすることが多いと私は感じていたのだが、カズは全く違った。貪欲にゴールを狙っていた。そこが他の日本人選手とカズとの違いであり、カズは当時の日本で最高のストライカーだった」
Jリーグ初代MVPにして、53歳となった今もなお現役を続けるカズの若かりし頃の姿は、同氏の記憶に鮮明に残っているようだ。