ブラジル人FWルーカスの心を揺さぶった「美しき応援」 異国の地・日本で愛された理由は?

2008年のクラブW杯ではマンチェスター・ユナイテッド相手に善戦を見せた【写真:Getty Images】
2008年のクラブW杯ではマンチェスター・ユナイテッド相手に善戦を見せた【写真:Getty Images】

C・ロナウドやルーニーと対戦した08年のクラブW杯準決勝マンU戦は忘れられない試合

 そして実際、ルーカスはG大阪で天皇杯2回、パンパシフィックチャンピオンシップ制覇を経験。2008年にはAFCチャンピオンズリーグ(ACL)で優勝し、彼自身もアデレード・ユナイテッドとの決勝2試合で3ゴール1アシストを決めるなど大きく貢献した。

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「だからこそ、僕が行くべき場所だったと言える。すごく良い感じでいられたし、あのACL決勝では、クラブ悲願のタイトルを勝ち獲る手助けをすることができた。しかも、日本の選手たちとの固い絆によって達成できたんだからね」

 もう一つ思い出深いのは、2008年FIFAクラブワールドカップの準決勝マンチェスター・ユナイテッド戦(3-5)だ。

「感動した(笑)。クリスティアーノ・ロナウドやウェイン・ルーニーと対戦したんだよ! 僕はフランス(レンヌ)でプレーしたけど、シドニー五輪に出場した頃は、スペインやイングランドに行くのを夢見ていた。だから、あの試合では自分が20歳の頃に戻ったみたいに感じたし、当時の夢が愛する日本で実現したんだ。しかも、僕らはビューティフルゲームをしたからね。負けはしたものの、アレックス・ファーガソン(監督)がガンバをすごく称えてくれたほどだった」

 2度目のFC東京所属となった2011年には、クラブはJ2を戦っていたが、1年でのJ1復帰に貢献した。

「石川ナオ(直宏)、森重(真人)、権田(修一)、梶山(陽平)、徳永(悠平)、今野(泰幸)……。経験豊富な良い選手たちが多くて、J2にいるようなチームじゃなかった。ただ、必要だったのは“ジシン”。僕はみんなの自信を取り戻させるために行ったようなものだ。だから、僕が取り組んだのは楽しい雰囲気作りかな。ロッカールームで音楽をかけたり、冗談を言ったり、みんなとたくさん話したり。そういう陽気な雰囲気のなかで、みんながあのチームの一員であることの喜びを再び感じ始めた。練習でもみんな幸せ。ロッカールームでも幸せ。試合は、その幸せの最終項目という感じ。そうやってみんなでJ1復帰を達成したんだ」

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藤原清美

ふじわら・きよみ/2001年にリオデジャネイロへ拠点を移し、スポーツやドキュメンタリー、紀行などの分野で取材活動。特に、サッカーではブラジル代表チームや選手の取材で世界中を飛び回り、日本とブラジル両国のテレビ・執筆などで活躍している。ワールドカップ6大会取材。著書に『セレソン 人生の勝者たち 「最強集団」から学ぶ15の言葉』(ソル・メディア)『感動!ブラジルサッカー』(講談社現代新書)。YouTubeチャンネル『Planeta Kiyomi』も運営中。

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