元FC東京ルーカス、日本での“9年半”に抱く感謝の思い 「僕はもっと良い人間になれた」
ビジネスマンとして手腕を振るいつつ、運営管理の講座を受けるなどサッカーにも携わる
ルーカスは現在、サッカーとは異なる分野で手腕を振るっている。
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「住宅やマンションを建設して、販売するという会社をやっているんだ。すごく研究してからスタートしたおかげで、上手くいっているよ」
住まいのあるサンパウロ州内や、他の州にも支社を作り、経済関係のサイトで「サッカー選手からビジネスマンへ」といった成功例として特集されるほどの成長を続けている。
「今年は新型コロナウイルスのせいで仕事が減ったのは確かだけど、それでも忙しくやっているよ。今はホームオフィスにして、オンラインで24時間体制(笑)。子供と過ごす時間以外は、仕事をしている状況だ」
その一方で、ルーカスはサッカーとも関わり続けている。
「ブラジルで有名なメジーナのサッカー大学というのがあって、引退後はそこでサッカーの運営管理についての講座を受けた。その後、“ダイリニン”…あ、間違えて日本語で言っちゃった(笑)。代理人の仕事についても勉強した。だから、クラブの運営や国際的な代理人業も人生のプロジェクトの一つだ。とりあえずは、軌道に乗っている今の仕事をしながら、そのチャンスをうかがっているというところさ。指導者や監督は無理だな。子供たちの世話で“イッパイ、イッパイ”だから(笑)」
真面目でほがらかなルーカスには友人も多く、コロナ禍による外出規制の最中には、かつてのサッカー仲間に誘われて、ソーシャルネットワークサービスでのライブなどにも参加している。
2000年からのレンヌ(フランス)時代のチームメートだった元ブラジル代表FWルイス・ファビアーノは、今でも「日本」と聞くとまずルーカスを思い出すと言い、「大親友。僕はルーカスのファンなんだ。一緒にいた頃が懐かしいよ」とよく話している。
ルーカスはメディアにもよく登場する。母国でのプレーや、ブラジル代表として参加したシドニー五輪が話題となるなか、日本での通算9年半を語る時はブラジル向けのインタビューであっても、「選手として最高の年月だったし、日本にアイデンティティーを感じている」と語る。
「引退した後も、FC東京やガンバ大阪が主催する日本でのイベントに招待されたり、2014年にはJリーグ功労選手賞を受賞したんだ。幸せだよね。僕の人生は、すごく価値あるものになった」
藤原清美
ふじわら・きよみ/2001年にリオデジャネイロへ拠点を移し、スポーツやドキュメンタリー、紀行などの分野で取材活動。特に、サッカーではブラジル代表チームや選手の取材で世界中を飛び回り、日本とブラジル両国のテレビ・執筆などで活躍している。ワールドカップ6大会取材。著書に『セレソン 人生の勝者たち 「最強集団」から学ぶ15の言葉』(ソル・メディア)『感動!ブラジルサッカー』(講談社現代新書)。YouTubeチャンネル『Planeta Kiyomi』も運営中。