久保は「20分早く出場すべきだった」 地元紙記者が評価、開幕戦で「クオリティー高めた」
【スペイン発コラム】開幕戦で後半32分から途中出場、チーム内での一定の信頼を証明
レアル・マドリードから今夏、1年間の期限付き移籍でビジャレアルに加入した日本代表MF久保建英の、スペイン2シーズン目がついにスタートした。現地時間12日に行われたリーガ・エスパニョーラ開幕戦の相手は、日本代表FW岡崎慎司が所属する昇格組のウエスカだった。
ビジャレアルは今季、スペイン、フランス、イングランドなど、国内外での経験豊富なウナイ・エメリ新監督を招聘。久保はプレシーズン全5試合で起用されたが、新チームの戦術、新たなチームメートといった環境に適応するのにやや苦しみ、マジョルカでプレーした昨季終盤のような輝かしいパフォーマンスを披露することができなかった。
またポジションを争うライバルも代表クラスの選手たちと、昨季のマジョルカに比べて格段にレベルが上がっており、ウエスカ戦での先発出場の可能性についてはスペインメディアの間でも意見が分かれていた。そのような状況のなか、キックオフ1時間前に発表されたスターティングメンバーに久保の名前はなかった。
ウエスカ戦でのシステムは4-4-1-1。中盤より前のポジションを見てみると、ダブルボランチにバレンシアから加入したMFダニエル・パレホとMFフランシス・コクランが入り、右サイドハーフにMFサムエル・チュクウェゼ、左サイドハーフにMFモイ・ゴメスが起用された。そしてセカンドトップに昨季のリーガ得点ランキング3位のFWジェラール・モレノ、1トップにドルトムントから今年1月に鳴り物入りで入団したFWパコ・アルカセルが入っている。
試合はビジャレアルがオフサイドで二度ゴールが取り消された後の前半42分、ウエスカはGKアンドレス・フェルナンデスのパスで攻撃をスタートさせ、岡崎が中盤で絡んだ鮮やかな連係プレーから、DFパブロ・マフェオが先制点を記録した。
その後、ビジャレアルは後半23分にG・モレノのPKで同点にした後、エメリ監督が勝ち越し点を狙うため、同32分にようやく動いて3選手を同時投入する。久保はアルカセルとの交代でトップ下に入り、フル出場した岡崎との“日本人対決”が実現した。
久保はわずかな出場時間ながら、中盤で素晴らしいつなぎを見せ、シュートを打ち、右サイドからのFKを任され、公式戦初戦ながらチーム内で一定の信頼があることを示した一方、大きな武器の一つであるドリブルは相当警戒されており、プレシーズンの時にすでに見られていたように、相手のファウルを用いた激しいチャージに苦しめられた。そして試合は1-1のまま終了している。
高橋智行
たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。