世界を驚かせたマンUのファルカオ獲得 コロンビア代表FWの未来に広がる暗雲

 

バランスの悪さが際立つマンU

 スタイルとしてはファンペルシーとかぶる希代のフィニッシャーだ。となるとファン・ハールが現在の3-4-1-2にこだわる場合、2トップをオランダ代表FWとファルカオとし、ルーニーをトップ下で起用する公算が高い。

 けれども結局、不安視された守備陣の補強は全くなかった。

 チームの戦力バランスが悪いといって、香川、ウェルベック、エルナンデスという有望な若手を切っておきながら、まさに金に糸目をつけずにディ・マリアとファルカオを獲得した。

 この2人の補強は、これはどう見ても攻撃に偏ったもので、問題視されていた最終ラインを鼓舞するリーダーシップ、また中盤の底でボールを奪い返し、攻撃の起点となる司令塔の獲得といった、切実な補強ポイントは全く無視された形になった。

 インターネット上でもこの大物偏重補強を揶揄するフォーメーションが続々と掲載されたが、英大衆紙ザ・サンは9月2日付の紙面でこんなシステム図を載せた。

 最前線は右からファルカオ、ファンペルシー、ルーニー、1.5列目にマタ、ディ・マリア、ヤングを並べ、中盤にバレンシア、エレーラ、フレッチャー。そして今季サウサンプトンから移籍した19歳左SBのルーク・ショーがひとり最終ラインの左サイドにぽつんと残すーという図である。

 もちろん、昨夜(9月3日)のドイツ戦で1ゴール3アシストの鬼神の活躍を見せたディ・マリアの凄さも、現時点でファンペルシー、イブラヒモビッチ、スアレス、カバニ等のフィニッシャーと並び称されるファルカオの能力についても、否定するつもりは全くない。

 しかし、入ったチームの攻守のバランスが悪すぎる。

 ファルカオの移籍が世界を驚かせたのは、ファンペルシー、ルーニーの2枚看板がいるポジションに、レンタルで40億円近くもファルカオ獲得に支払った、マンチェスター・U補強のバランス感覚の悪さも影響している。

 しかも今年の1月に65億円も支払って連れて来たマタが不要になる可能性も高い。

 結局、連れて来た側としては、大枚をはたいてワールドクラスのストライカーを獲得したのに、その選手がチームに欠けていたピースというわけではなく、また来た方も、マンチェスター・Uに移籍したのは、待遇面を優先しての決断という気配が強い。

 それにいきなり、マンチェスター・U11年目で今季からは主将も務めるルーニーを超える高給を与えるというのはいかがなものか。

 リバプールやアーセナル、そして先週Rマドリードが獲得をあきらめたのも、このファルカオ・サイドの要求の高さ、つまりチーム内序列を乱すかも知れない高年俸要求を嫌った上での決断だったのではないか。

 それはファルカオの実父カルロス氏のコメントからも推測できる。同氏はファルカオのRマドリード移籍がつぶれた理由について、「レアルは色んな条件を加えた上、ただで選手を取ろうとしている」と話し、金銭的条件が噛み合なかったことをほのめかしている。

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