“ブレ球”で注目された「ジャブラニ」から10年 進化し続けるサッカーボールの今
2006年から変わったパネルの形状「本当に大きな変革だった」
『TSUBASA』の開発に関わったモルテン社のスポーツ事業本部所属、小寺利治氏は「たとえば、パネルの枚数が1枚で完全な球体に近づければそれがベストだという人もいるかもしれません。確かにスイートスポットは大きくなりますが、ボールのパネル間の溝の長さと深さによって、空気抵抗の関係で軌道がブレづらくなるということもあります。そういった組み合わせについてしっかりと考えられたうえで、進化を遂げているところがアディダス社のボールづくりで一貫しているところです」と補足している。単にパネルの枚数が少なければいい、縫い目がなければいいという話ではなく、研究を重ねて最適解を模索しているという。
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ボールを覆うパネルについては、2006年ドイツ・ワールドカップ(W杯)公式球の『+TEAMGEIST(+チームガイスト)』から形や枚数が一新された。それまでは五角形と六角形の異なる形のパネルが計32枚使われていたものが、14枚と一気に半分以下の枚数になった。
さらに大きく揺れるブレ球が話題となった2010年南アフリカW杯の公式球『ジャブラニ』でパネルは8枚(2種類)となり、14年ブラジルW杯の『ブラズーカ』ではすべてのパネルの形が均一となり、枚数も歴代最少の6枚に。これによってボールの飛行安定性を向上させた。この10年から15年あまりで、ボールが劇的に変化を遂げていることが分かる。
福田氏は、ボールの進化について次のように語っている。
「もちろん、アディダスが最初にW杯の公式球を作った1970年から進化は続いていますが、それが急激に加速したのはここ10年から20年の間です。先ほども言ったように、2006年からはパネルの形状がガラッと変わりました。これは本当に大きな変革だったと思います。1970年から2002年頃までの時期と比べると、その後の20年弱での変化というはものすごく大きなものだったと思います」