8月の「J1月間ベストセーブ」は? 元日本代表GK楢﨑氏が選出「攻守一連の流れが良かった」
西川のロングフィードから数秒後にピンチ到来…対応の難しさが浮き彫りに
前川のセービングシーンをさらに紐解くと、GKとしての対応の難しさが浮き彫りになる。興梠との1対1の局面を迎えたのは、西川のロングフィードから約6秒後。前川としては咄嗟の判断が求められる酷なシチュエーションだったこの場面について、楢﨑氏はこう分析する。
「自チームの最終ラインが高く上がっていて、その背後をカバーしなくてはいけないので、ある程度ゴールから離れて前に出ていたんじゃないかなと思います。そこから急にカウンターになって、目の前の戦況を確認しつつ後ろに下がっていくような状況になるので、視野が確保じづらくハードな対応だったんじゃないかと。特にこの場面のようにカウンターを受けた時なんかは難易度が上がるので、その点で難しさがあったかと思います」
結果的に神戸はGKとDFの連係プレーにより難を逃れ、失点を回避。一方で、ロングフィードでチャンスを演出した浦和GK西川のプレーは得点にこそ結びつかなかったものの、攻守においてそれぞれのGKの判断が光るワンシーンだったと言えそうだ。
[プロフィール]
楢﨑正剛/1976年4月15日生まれ、奈良県出身。1995年に奈良育英高校から横浜フリューゲルスに加入。ルーキーながら正GKの座を射止めると、翌年にJリーグベストイレブンに初選出された。98年シーズン限りでの横浜フリューゲルス消滅が決まった後、99年に名古屋グランパスエイトへ移籍。10年には、初のJ1リーグ優勝を経験し、GK初のMVPに輝いた。日本代表としても活躍し、国際大会では2000年のシドニー五輪(OA枠)、02年日韓W杯などに出場。昨年1月に現役引退を発表し、現在は名古屋の「クラブスペシャルフェロー」に加え、「アカデミーダイレクター補佐」および「アカデミーGKコーチ」を兼任する。