8月の「J1月間ベストセーブ」は? 元日本代表GK楢﨑氏が選出「攻守一連の流れが良かった」
第12節浦和対神戸戦のワンシーンを選出 「GKに求められるプレーが入っていた」
今季のJ1リーグは、新型コロナウイルスの影響により約4カ月間の中断を余儀なくされたものの、ピッチ上では例年と変わらぬ熱戦が繰り広げられている。毎節、印象に残るゴールとともにビッグセーブも飛び出しているなか、スポーツチャンネル「DAZN」が主導する「DAZN Jリーグ推進委員会」の新企画で、元日本代表GK楢﨑正剛氏に8月のリーグ戦の中から最も印象に残ったワンシーンを「月間ベストセーブ」として選出してもらった。
J1リーグは、7月上旬に新型コロナ禍による中断から再開。ピッチ上では熱き戦いが繰り広げられ、勝負の行方を左右する数々の好セーブが飛び出している。そんななか、現役時代に名古屋グランパスでJ1制覇を経験し、02年日韓ワールドカップに出場するなど日本代表としても活躍した“名守護神”楢﨑氏は、8月の試合からビッグセーブ候補を6つセレクト。「難しいセービングかどうかはもちろん、ゲームの中でポイントになっているか、会心のプレーだったかを含めて判断しました」と選考基準を明かし、以下のように順位をつけた。
6位 ヤクブ・スウォビィク(ベガルタ仙台):第9節ヴィッセル神戸戦/後半43分の場面
5位 朴 一圭(横浜F・マリノス):第8節ベガルタ仙台戦/後半23分の場面
4位 西川周作(浦和レッズ):第10節サンフレッチェ広島戦/前半15分の場面
3位 林 彰洋(FC東京):第12節湘南ベルマーレ戦/後半9分の場面
2位 中村航輔(柏レイソル):第11節ヴィッセル神戸戦/後半8分の場面
1位 前川黛也&菊池流帆(ヴィッセル神戸):第12節浦和レッズ戦/後半25分の場面
代表クラスの中村や林、西川らのセービングを挙げつつも、楢﨑氏が1位に選んだのは第12節の浦和対神戸でのワンシーンだ。後半25分、浦和は自陣ペナルティーエリア内でボールを受けたGK西川のロングフィードを起点にカウンターを発動。このフィードに反応したFW興梠慎三が、神戸の最終ライン背後へ抜け出しGKと1対1の局面を迎えたものの、神戸GK前川が前に出て突破を阻む。さらに、こぼれ球にいち早く反応した浦和MF汰木康也がシュートを放つも、がら空きのゴールへカバーに入っていた神戸DF菊池が頭でクリアし、難を逃れた。
このシーンについて楢﨑氏は、「攻守両面でGKに求められるプレーが入っていた」と見解を述べ、間一髪でピンチを凌いだ神戸側の対応を称えた一方、「同じGKという観点で見れば、しっかりとチャンスへつなげた西川選手のロングフィードがクローズアップされてもいい」と指摘。実際にその場面を振り返ってみると、後方からビルドアップする攻め方も選択肢の一つとして考えられたなか、西川は瞬時にロングフィードを選択し、チャンスを演出してみせた。まさに、西川の好判断が光った場面であり、ゴールを守るだけでなく、こうした攻撃面への関与も「GKとしてやるべきこと」だと、楢﨑氏は力説する。
対して、神戸側の対応は「GKの判断、DFの対応ともに的確だった」と楢﨑氏。セービング自体はいわゆる“スーパーセーブ”という概念からかけ離れたものかもしれないが、なにより“基本”が大事だったと強調している。
「GKが飛び出すタイミング、シュートストップという技術と判断についてはしっかりできていて、DFも忠実に働いていました。GKが前に出たらDFがカバーに入るという基本的な動作ですけど、逆に言うと、これができていなければ問題ですからね。先ほど触れた西川選手の好判断からのフィード、それに対するGKの対応とDFのカバーリングと、一連の流れを踏まえてこのシーンは良かったと思います」