JFA田嶋会長、新型コロナ感染者への誹謗中傷”撲滅”を呼びかけ 「経験からいえば…」

JFAの田嶋幸三会長【写真:高橋学】
JFAの田嶋幸三会長【写真:高橋学】

3月に新型コロナウイルスに感染した田嶋会長が声明を発表

 日本サッカー協会(JFA)は4日、田嶋幸三会長の声明を発表した。「誹謗中傷、差別や偏見をなくそう ~感染拡大防止のために~」と題して、新型コロナウイルス感染者への誹謗中傷や医療従事者への偏見、差別の撲滅を呼びかけている。

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 田嶋会長自身も新型コロナウイルスに感染した。2月末から海外出張が続き、北アイルランド、オランダ、アメリカと訪問後、3月8日に帰国。オランダで出席したUEFA(欧州サッカー連盟)総会では、後日新型コロナウイルスへの感染が確認されたセルビア協会会長が近くにいた。15日には微熱を覚えて診断を受けることになり、17日午後には陽性と判定、その後4月2日に退院した。

 こうした経緯を踏まえて、田嶋会長は9月4日に声明を発表。ファン、サポーターの体調を気遣いつつ、「JFA や関係省庁、自治体が発信する最新の情報を確認しながら、サッカーファミリーの皆さんも引き続き感染防止に最大限の注意を払い、日々の生活やサッカー活動を行っていきましょう」と呼びかけた。さらに「医療従事者の方々、人々の社会生活を支える仕事に従事されている方々をはじめ、数多くの方々に対してあらためて感謝を申し上げます」と述べたうえで、感染リスクについて触れた。

 Jリーグでもサガン鳥栖でクラスターが発生したり、海外でもバルセロナBのU-23日本代表MF安部裕葵も感染。「新型コロナウイルスワクチンの完成や治療法が確立されるまでの間、一人一人が新しい生活様式を実践し、感染しない、感染させない、ということを続けていくことが、このウイルスの爆発的感染や医療崩壊を防ぐための、私たちができることではないかと思います」と考えを述べた。また、自身が感染した経験も語り、社会問題にもなっている感染者や医療従事者への誹謗中傷、偏見、差別の撲滅を訴えた。

「自分自身が感染した経験からいえば、感染を疑った時点から、自分自身のことよりも、周囲の人たちに移していないか、自分から感染を広げていないか、ということを切実に考えました。感染者は病気への不安だけでなく、周囲への影響にも心を痛めています。

 残念ながら一部では、感染者やその家族などに対する差別や偏見、心無い行為が見受けられます。集団感染が発生した学校や大学、職場への誹謗中傷も後を絶たず、一部では人権侵害の行政通報が法務局になされたと聞いています。医療従事者やその周囲の方たちへの偏見や差別があったという報道も未だに目にします。こうした行為は、体調が悪くなった場合、批判を恐れて適切な検査や治療を受けないことになったり、あるいは、職場などで感染者が出た場合、組織的な隠蔽(いんぺい)につながったりする可能性があり、この病気への対応で一番大切な初期対応を誤り、結果的に感染を拡大させてしまうといったことにもつながりかねません」

 サッカー界では相手への尊重が強調され、差別や暴力のない世界をつくるべく取り組んできた。最後に田嶋会長は「サッカーファミリーの皆さん、ぜひ、皆さん一人一人がメッセンジャーとなって『リスペクト』を広げてください」と、訴えかけていた。

(FOOTBALL ZONE編集部)



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