私が「朝鮮」と「在日」を背負う理由 在日女子サッカー界のパイオニアが掲げる”使命”
「自分の夢は同胞みんなの夢で、絶対に叶えなければならない」
李誠雅は、「叶えなければいけない夢がある」を座右の銘にしている。直近の東京五輪出場は、昨年12月に朝鮮民主主義人民共和国女子代表がアジア最終予選に参加しない意思を表明したため、実現できなかった。それでも、「ワールドカップ優勝」の夢に向けた彼女の“魂の炎”は決して揺らぐことはない。
「朝鮮代表で活躍してワールドカップ優勝を果たしたら、同胞の人たちが喜んでくれる姿が一番に想像できます。その顔を見たいというか、サッカー選手である以上、朝鮮代表で活躍するのが私の使命。自分の夢は同胞みんなの夢で、叶えたいではなく、絶対に叶えなければならないんだと言い聞かせています。自分が在日の女子サッカー界の先頭をきって走っているというのは分かるし、責任も感じています。私が確固たる地位を築くことで、今後を担う後輩たちに目指せるものなんだと示したい。その思いはサッカー選手として生きるうえで、私の大きな源になっています」
李誠雅という“オンリーワンの花”は、朝鮮代表として国を背負って咲き誇るべく、自分を磨いて力を蓄えている。
[PROFILE]
李誠雅(リ・ソンア)
1999年6月22日生まれ。大阪府出身。167センチ・59キロ。東大阪朝鮮中級学校サッカー部―セレッソ大阪堺ガールズ―日体大FIELDS横浜。なでしこリーグ1部通算25試合・4得点、なでしこリーグ2部通算0試合・0得点(8月29日時点)。スピードとキープ力を兼ね備えたアタッカーで、F日体大の萩原直斗監督曰く「不器用なくらい真面目で、熱さを前面に出せる」。2016年のU-17女子ワールドカップで在日の朝鮮女子選手としては初めて代表に選出され、「朝鮮代表でワールドカップ優勝」という夢に向かって突き進む。
※取材はビデオ会議アプリ「Zoom」を使用して実施。
(FOOTBALL ZONE編集部・小田智史 / Tomofumi Oda)