周到な準備で浦和撃破の名波監督 強豪復活への”初勝利”も「不細工なシーンがたくさんあった」

試合を6分割して描いた勝利への戦略

 敵地で首尾よく先制した名波監督は、このゲームを6つの時間帯に分けて戦略的に臨んだという。そして、交代策もピタリと的中することになる。

「15分ずつの分割で6セットとホワイトボードに書いた。最初の4セット、60分までを自分たちのやりたい守備でしのげれば、相手はホーム開幕戦。ゲーム展開によってはバランスを崩し、メンバー交代を含めて”ヤンチャな感じ”になったところでチャンスがあるのではないか、と考えた。6セット目に入ったところで失点したが、最終的には決勝ゴールを奪えた。ジェイを早めに入れたことで、浦和が永田というカードを切らざるを得ない状況を作れたのは良かった。そこで、駒井、梅崎、李といった前の選手のカードを1枚切れなくなったことも勝因だった」

 名波監督が動いたのは15分ごとの分割の5セット目の終盤に差し掛かった後半24分だった。1点リードした状況で長身FWジェイを前線に投入している。これを受けた浦和のミハイロ・ペトロヴィッチ監督は、1点を追う状況で右サイドで攻撃的な強みを持つMF関根貴大を下げて長身DF永田充を投入して対応した。結果として、ベンチに豊富に揃った攻撃のカードを切る手に制限がかかった。

 結果的に磐田は、6セット目に入った後半33分にMF柏木陽介のゴールで同点に追いつかれたが、勝ち点3を目指して全体が攻撃的に振る舞う浦和のスキを突き、セットプレーの流れから後半38分にFWジェイが決勝ゴールを奪って勝利している。

 名波監督は、0-1で名古屋に敗れた開幕戦を「非常に逃げのサッカーをして勝ち点1も得られなかった」と分析していた。だからこそ、最後には選手のメンタルに訴えかけた。

「最初にホワイトボードにワーッと書いていって、全部消して、最後に『逃げるな』と一言書いて送りだした」

 

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