補強完了で始まる色彩豊かな新生ACミランのピッポ戦術 どうなる本田の起用法
ここからが勝負の本田
さらに、最終ラインを低く保つ下位のチームが相手でスペースのない試合では、インザーギ監督は4-4-2システムに変更することもあるという。その場合は右攻撃的MFにアンドレア・ポーリ、左MFは移籍市場閉幕ギリギリでアタランタから加入したジャコモ・ボナベントゥーラを配する。2トップはFWジャンパウロ・パッツィーニと、トーレスが務める。その配列をこう評する。
「バランスと発火装置。3トップだけではない。4-4-2は守備を固めるチームにも有効。ボナベントゥーラの柔軟さが、攻守のバランスを保つ。火花のような攻撃が生み出せるトーレスと、パッツィーニが導火線に火をつける」
最後は、格上相手の戦術だが、システムは4-2-3-1を用いる。ここでは昨季のイタリア王者を対戦相手にシミュレーションを行い、こう紹介されている。
「2人の屈強なボランチ(デヨングと、ムンタリ)が最終ラインで守り、ヴィダル、ポグバ、ピアニッチなどを捕獲する。中盤の3人はポーリとボナベントゥーラが運動量と守備力を生かす。もう1人のエルシャラウィーが速攻を仕掛ける。1トップはトーレスだ」
また、インザーギ監督は「60分で常に攻撃の選手を代える」と語っており、ベンチにいる選手を勇気付けているというのだ。8月31日のラツィオ戦では戦況とムンタリの軽度の負傷で、交代は少し遅れた。本田はアルメロと後半32分に交代。メネズとMFニアンの交代は後半37分だった。
前ユベントス監督でイタリア代表を率いるアントニオ・コンテ氏も60分でサイドの選手を交代させる傾向が強かった。インザーギ監督はスタメンと途中出場の選手の差をつけないという。相手によって、戦術にバリエーションを持たせつつ、保有する選手をうまくやりくりしていくという。だからこそ、「4-3-3に固定はしない。メンバーの実力を生かして、価値を高めなければならない」と公言しているのだろう。
新加入のトーレスは、やはり不動の1トップと評価されている。親善試合と開幕戦で結果を積み重ね、日本代表合宿に参加中の本田はトーレス加入のあおりを受け、ポゼッションバージョンのみでの先発予想となった。代表活動後も、さらなるアピールが必要となりそうだが、ピッポ率いるACミランが、かつてがそうだったように、対戦相手をボール支配率で圧倒する姿を取り戻したときは話が別だろう。そのときは、背番号「10」がサンシーロで歓喜の輪の中心にいるはずだ。
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サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web