浦和レッズ「9」番の系譜 エースナンバーを背負った男たちの誇りと覚悟とは
2代目「9」番が抱いた葛藤と本音
クラブは永井雄一郎を2代目に選んだ。しかし23歳の変幻自在のドリブラーはこの要請に逡巡(しゅんじゅん)し、なかなか承諾しない。さんぜんと輝き、あまりに大きかった福田の背中を間近で見てきた者なら、ミスター・レッズが引退した翌年に9番を継承するのは気が引ける。
クラブ側の打診に懐柔された永井は03年から9番を引き継ぐ。「福田さんの2番手ではなく、2代目というところにこだわり、福田さんの次でも存在感のある選手になりたい」と当時は説明したが、後年「福田さんのすぐ後では誰だって気が重い。比較されるのが一番嫌だった」と本音を漏らした。
浦和は93、94年とリーグ戦で年間最下位ながら、ホームスタジアムは門前市を成した。勝って観客に喜びを提供したいという思いが人一倍強かった福田は、エースとして、ストライカーとしての自覚もまた強かった。それ故「浦和の9番には大きな責任がある」との覚悟が染み込んでいたのだ。
永井は08年まで福田と同じく6年間、9番でプレーし、記憶に残る得点を数多くものにした。