「三歩進んで二歩下がる」清水の苦悩 リーグ最多タイ“24失点”の拙守を克服できるか

清水エスパルスは横浜FC戦でも3失点を喫して勝ち点を伸ばせず【写真:Getty Images】
清水エスパルスは横浜FC戦でも3失点を喫して勝ち点を伸ばせず【写真:Getty Images】

【J番記者コラム】横浜FCに2-3で敗れ2連敗、「攻撃は最大の防御」を貫くが…

 清水エスパルスは前節、横浜F・マリノスとの「師弟対決」に3-4と打ち合いの末に負けたが、それでも昨年のJ1リーグ王者を相手に二度追いつく展開で、最終的には1点差まで迫った。そのチャンピオンチームの攻撃的なスタイルをさらに進化させ、“清水の色”をつけ足すサッカーに今シーズンはチャレンジしているなか、「お手本」に敗れはしたものの一定の手応えを感じ、22日のJ1第12節横浜FC戦に臨んだ。連日40度超えの気温が話題となる真夏の連戦で、J1リーグ唯一の中2日で迎えた試合でもあった。

 試合は前半25分に、横浜FCのFW斉藤光毅のミドルシュートで先制される。同33分には、右腿前を気にしていた攻守の要であるDFヴァウドが途中交代するアクシデントが発生したが、同44分にMF金子翔太が2試合連続となるゴールで一度は追い付いた。しかし直後の前半アディショナルタイム、横浜FCのFW皆川佑介に頭で決められて1点差で前半を折り返した。

 後半5分には横浜FCのMF松尾佑介にドリブル突破を許して3点目を決められ1-3。試合終了間際の後半アディショナルタイムに、2年ぶりとなるJ1リーグ2得点目をMF竹内涼が決めて1点差まで迫るが、最後はゴール正面の絶好のポジションからのFWジュニオール・ドゥトラのFKが横浜FCの壁に当たったところでタイムアップとなった。

 清水はリーグ戦12試合で、失点数が横浜FCと並んでリーグワーストタイの24失点。得点は「18」で、リーグ6位(記録はすべて8月24日現在)となっている。今のスタイルは「攻撃は最大の防御」としているが、確かにチャンスと思われるシーンは多くあり、この試合でも金子が試合後に話したように、「決めていればというシーンが5つほどあった」ことは間違いない。

 一方、この試合でも3失点したことで、第10節のベガルタ仙台戦(0-0)以外では失点が続いている。試合後、ピーター・クラモフスキー監督に守備の立て直しについて尋ねたが、「今日はポジショニングを外してしまったところがあった。そこは改善しなければいけない」と話した。またキャプテンの竹内は「攻撃と守備はセットで考え、どちらの質も上げなければいけない」と、このサッカーは攻守一体だと捉えている。

 攻撃面については“決めきれない”という課題はまだまだ克服できていないが、それでも連動した動きとパス回しで理想の形に近づきつつある。あとは守備でも同様にチームとして連動した守備の形、そしてこの夏場の連戦の苦しい時でも二度追い、三度追いをして、そのプレスの強度も上げていくことも、竹内は必要だと感じているようだった。

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下舘浩久

しもだて・ひろひさ/1964年、静岡市(旧清水市)生まれ。地元一般企業に就職、総務人事部門で勤務後、ウエブサイト「Sの極み」(清水エスパルス応援メディア)創設者の大場健司氏の急逝に伴い、2010年にフリーランスに転身。サイトを引き継ぎ、クラブに密着して選手の生の声を届けている。

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