8連勝の北九州、快進撃を支える“プレー強度” 歴戦の指揮官が徹底してきたことは?

小林伸二監督率いるギラヴァンツ北九州は8連勝【写真:Getty Images】
小林伸二監督率いるギラヴァンツ北九州は8連勝【写真:Getty Images】

似たサッカーを志向する東京Vとの一戦を2-1で制する

 J2第14節、小林伸二監督率いる7連勝中のギラヴァンツ北九州は、ホームに永井秀樹監督率いる3連勝中の東京ヴェルディを迎えた。前節を終えてボール支配率1位の東京Vと4位の北九州は、ボールを保持して攻撃に人数をかけ、奪われればカウンタープレスを徹底することで、この夏場の連戦に調子を上げてきた。似たサッカーを志向するチーム同士の戦いであり、ボールの握り合いを制した者が勝負を制するのは明らか。結果はボール支配率58%で上回った北九州が2-1で勝利を収め、連勝を「8」に伸ばしたが、勝敗を分けたのはプレー強度の差だった。

「ヴェルディさんは本当に上手い。われわれが守備に回ると負けると思っていた」という小林監督は、「ヴェルディを得意の攻撃だけさせるのではなく、守備に回らせる」ため、アグレッシブに前からプレスをかけることを指示。永井監督は「我々のいつもの距離感、いつものサポートの位置が、1メートル、2メートル、一歩、二歩と微妙にズレて、ボールの循環がうまくいかなかった」と唇をかんだが、それを生じさせたのは北九州のプレスの激しさだった。

「今日は涼しかったんで、14kmぐらい走ってやろうかなと思っていた」と2ゴールを決めたFW町野修斗は語ったが、過密日程の5連戦の最後にもかかわらず北九州の反応速度、運動量は目を見張るものがあった。東京Vは中盤でマイボールになってもすぐに2人、3人で囲い込まれて奪い返され、逆に「相手の方が数的優位で、取り返そうと思っても人数がかからなくてボールが取れなかった」(MF藤田譲瑠チマ)。

 ただしハイプレスは諸刃の剣であり、それをかわされたり、あるいはルーズボールになって相手に拾われると、後ろの人数が少ないためあっという間にピンチに陥る。実際、東京Vが前半10分にその形からラッキーなオウンゴールで先制し、直後にもFW小池純輝が決定機を迎えるが、北九州は同13分にクイックリスタートからサイドを破って町野のゴールで追いつく。

 さらに後半14分、中央に守備を引きつけてオープンなサイドに展開しクロスに合わせる、チームの形で北九州が逆転。最後まで東京Vに走り勝ち、ミドルシュートとセットプレー以外にチャンスを許さず、クラブ記録を8連勝に更新した。

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