バイエルンを支えるコウチーニョの“復活”　「いいきっかけにすると、頭一つ出るんじゃないかな」

　絶対的エースのポーランド代表FWロベルト・レバンドフスキは大黒柱と呼ぶにふさわしい働きを見せるが、なかでも闘莉王氏が注目するのは、復調のブラジル代表MFフィリペ・コウチーニョだ。バルサから期限付き移籍しているコウチーニョは後半30分に途中出場すると、同37分に鋭いクロスでレバンドフスキのゴールをアシスト。その3分後にはドイツ代表MFトーマス・ミュラーのパスを受けてチーム7点目を決めると、その4分後にもゴールネットを揺らして、バルサ相手の衝撃の大勝劇を締めくくった。

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「レバンドフスキはチームの軸。どんなに厳しいパスでも、なんとかしてくれる。きちっと収めてくれる。そういうエースが前線にいるのが力強い。そのなかで、コウチーニョがもう一度活躍し出した。移籍を繰り返すなかで、気持ちの整理もしづらいはず。もちろん、コウチーニョのクオリティーは誰もが疑わないので、献身的なところが出てくれば活躍することは誰もが分かっていた。コウチーニョがこの前の試合をいいきっかけにすると、バイエルンが頭一つ出るんじゃないかな。バイエルンが一歩先を走っている感じがする」

　また闘莉王氏は、バイエルンの強さは守備陣にあると分析。現役時代、DF＋FWの「DFW」という攻撃型DFとしてゴールネットを何度も揺らし、DF登録ではJリーグ史上初の通算100ゴールを達成した闘将は、サイドバックやセンターバックもバルサのエリア内に侵入したバイエルンのアグレッシブさと攻撃力に魅力を感じるようだ。

「守備陣の攻撃参加を見ると、自分の昔のやり方を思い出せる。それがいいな、と。自分もああいう感じでやっていたんだなと思い出して、熱くなれる。鳥肌立つぐらい楽しみなサッカー」

　そのバイエルンに立ち向かうのは、ジョゼップ・グアルディオラ監督率いるシティを撃破して10シーズンぶりの4強入りを果たしたリヨン。伏兵の台頭が目立つ今大会で、リヨンが決勝の舞台へ駒を進めるためには何が必要か。日本代表としても経験値の高い闘莉王氏が“秘訣”を語った。

「俺はすごく好き。昔のように強いチームだけというわけではなくて、今はいろんなアイデアや戦術的な戦い方がある。今シーズンに限って言えば、ビッグクラブ以外でも勝つ確率が高い。一発勝負は、ビッグクラブにとって難しい。攻めていかなければいけないけど、攻めれば裏にスペースができる。そのなかで（リヨンは相手の）焦りを待つ。ビッグクラブはいつでも勝たなければいけないプレッシャーがある。焦りが出てきたらバランスが崩れる。我慢して相手の焦りを待てば、勝つ確率は間違いなく高まる」

　闘莉王氏が太鼓判を押すバイエルンか。それとも、躍進を続けるリヨンか――。サッカーの神様はどちらに微笑むのか、最後の1秒まで目が離せない戦いになりそうだ。

▼CL試合スケジュール（キックオフは日本時間）
■準決勝
19日（水）28:00　リヨン vs バイエルン・ミュンヘン
■決勝
23日（日）28:00　パリ・サンジェルマン vs リヨン対バイエルン・ミュンヘンの勝者

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［プロフィール］
田中マルクス闘莉王／1981年4月24日生まれ、ブラジル出身。渋谷幕張高を卒業後、2001年にJ1広島でプロデビュー。06年に浦和のリーグ初優勝に貢献し、同年のJリーグMVPに輝く。07年にACL優勝、名古屋移籍後の10年に自身2度目のJ1制覇を経験。DF登録選手史上初となるJリーグ100ゴールも達成した。03年の日本国籍取得後は日本代表としても活躍し、04年アテネ五輪、10年南アフリカW杯に出場。日本代表43試合8得点の成績を残した。19年12月にJ2京都で現役を引退。現在はブラジルで実業家として活動する傍ら、公式YouTubeチャンネル「闘莉王TV」[ftp_del]（ https://www.youtube.com/channel/UC4XGB9ZaC-xD5LkA4qyodhA）[/ftp_del]も話題となっている。
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