こんなに奮闘するネイマールは見たことがない 傑出した「個」の力で密着マークを“無力化”
CLベスト8以降でモノをいう傑出した「個」の能力
アタランタがネイマールの前に陥落したのも、マンマークだったことが影響したと思う。ゾーンでも結果は同じだったかもしれないが、洗練されたゾーンディフェンスがスターのドリブル突破の被害を最小限に抑え込んできたことは、歴史が証明している。
だから現代サッカーはかつてほど「個」のドリブルに依存していない。ただ、パスワークだけでは埒が開かないこともあるわけで、CLのベスト8からはそういう試合が多くなる。そこでモノをいうのは、やはり傑出した「個」の能力なのだ。近年のCL優勝チームは、およそリオネル・メッシかクリスティアーノ・ロナウドのいるチームというのは、偶然ではないだろう。
RBライプツィヒに敗れたアトレティコ・マドリードも、途中投入したジョアン・フェリックスの個人技からPKを得て、いったんは1-1に追いついた。組織は大事だが、その組織を1人で打ち破れる「個」はそれだけに貴重である。
西部謙司
にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。