岡崎慎司、スペイン2部で味わった「天国と地獄」 “葛藤”を乗り越えた分岐点の試合とは?
2部でプレーすることで芽生えた思い…ベンチに座って湧き出た感情 「僕の中では分岐点」
「最初は(レスターとマラガで)試合に出ていなかったので、試合に出られる喜びもあったし、個人的にもプレーで引っ張れているしゴールも最初は取れていた。でも、取れなくなった時に、個人的には『ゴールは取れていないけど、チームを引っ張れている』という感じがあったなかで、監督としては『流れを変えたい』ということで、ベンチになった。3試合ぐらいベンチが続いたけど、これが僕の中では分岐点で、1部でベンチなのと2部でベンチなのはダメージが違う。その時に、自分のこの感覚をまず受け入れること。1部に上がらなきゃとか、結局2部だしな、という感情すべてを受け入れて、消化して、1部2部関係なく『まずここで成長する』ということを心掛けた。そうしたら選手との接し方とか、自分の中にあったプライドもなくなったので、そこは分岐点だったかな」
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プライドを捨て、現実を受け入れ、2部で一から這い上がることを誓った時、岡崎の中で確かに変わるものがあった。途中出場でもいい、ピッチに立ったら結果を出す。1部であろうと2部であろうと泥臭く、ボールを追いかける。そして迎えた第21節サラゴサ戦。昇格に向けて負けられない上位とのダービーで、きっちりとゴールを決めた。
「いつも通りの自分に切り替えられて、気分的にも楽になった。重要なサラゴサ戦でゴールを決められたことによって、監督にもあらためて『岡崎は必要なのかな』と思わせられたと思う。その後、新しいFWが入ってきて『そいつを使ってみよう』となった時も、結局は重要な試合でゴールを取ることができた。2部に対しての気持ちがなくなった時に、自分に対してクロスが上がってきたりした。もちろん『2部でいいや』という受け入れ方ではなくて、まずはここで成功しなきゃ何も起こらないというところを改めて受け入れた。これが最初の壁だったのかなと思いますね」
自問自答を繰り返しながらも、打開策を見つけた岡崎。曲げられない信念があったから、1年間で成功を掴み、チームを自らの手で1部へと導いた。
「苦労だらけだったけど、1年通して一貫したプレーはできた。あとは結果が出るか出ないか。チームと合わせられるか合わせられないかの部分で、そこでの試行錯誤は1年間続けていた。だからこそ、結局12点取れたというところにつながると思います」
マラガで経験した自らの力ではどうにもできない悔しさ、ウエスカに来てから知った「2部で戦う」ことへの葛藤。ワールドカップに3度出場し、プレミア制覇を経験しても、岡崎にとって知らない世界はまだあった。こうして一つずつ乗り越えて、岡崎慎司は34歳になった今でも、まだ見ぬ先を目指して上り続ける。