なぜJFAアカデミーからスペインへ? 19歳MF十川ゆきが突き進む“オンリーワンの道”
中学時代に訪れたスペイン人監督との運命の出会い エスパニョールなどの練習にも参加
もっとも当時の十川はまだ14歳で、「右も左もまだよく分からない状態」。「一回スペインへ行ってみたい」「どんなサッカーをしているのか試してみたい」という気持ちを抑え、高校1年生になったタイミングでフラン監督にコンタクトを取った。すでにアカデミーの指導には携わっていなかったが、恩師のツテでスペイン女子1部エスパニョールのBチームに10日間練習参加するチャンスを手にした。
「日本人女性の方に助けてもらいながらエスパニョールに行って、感覚として“この国には住める”と思いました。中学1~3年生の時に、毎年1週間程度のアメリカ遠征があったんですけど、その時は食事が合わず、3日でしんどくなるような感じで、環境的にあまり居心地の良さを感じられなくて。海外で生活するには、そこはすごく大事だと思っていたので、スペインへの思いが強くなりました。サッカーの面でも、実力的にやれないことはないなと。ただ、スペイン語ができないからまったくコミュニケーションが取れなくて、帰国してすぐにスカイプで(語学の)レッスンを始めました」
JFAアカデミー出身者は、卒業後に大学サッカーやなでしこリーグへ進む選択肢が主流。十川もスペインへの思いは変わるかもしれない、と思いながら日々を過ごしていたが、高校2年・3年と進級しても「スペインでもっと成長したい」という気持ちはずっと強かった。
高校2年生の時にも女子1部テネリフェの練習に参加し、スペインリーグのレベルを再確認。アメリカ遠征のコーディネートをしていた日本人関係者の知人のつながりで、スペイン2部オビエドにたどり着き、アカデミーを退寮した2019年2月にトライアウトの話にこぎつけた。2週間の練習参加にあたって、十川は「少しでも何か準備したい」との思いで所属する全選手の名前を覚えて現地に向かったという。
「実際にトライアウトに参加してみて、オビエドのパスをつないでボールを保持しながら攻撃するスタイルは自分に合っていたので、すごくやりやすかった。3日目にはチームも良い評価をしてくれて、私もここでチャレンジしたいと思っていました。1週間が経過した時には、今シーズン(2018-19シーズン)はビザの問題もあって契約するのは無理だけど、来シーズン(2019-20シーズン)の契約でぜひという話を頂きました」