清水の初勝利導いた“高精度キック” クラモフスキー采配的中、セットプレーから“4発”圧倒
クラブワーストの開幕6戦未勝利でもチームの雰囲気は悪くなかった
しかし、すべてが良かったわけではなく、終了間際の2分間で2失点と、最終的に複数失点を喫してしまうという集中力を維持できない問題。そして4得点はしたが、流れのなかからの得点がなかったことなど、まだまだ課題は山積みだ。しかし得点が決まるたびに、セットプレーのデザイン担当の篠田善之コーチがベンチで他のコーチや監督からもみくちゃにされている姿は、開幕6戦未勝利というクラブワースト記録のなかではあったが、チームの雰囲気が良いことが窺えた。
奇しくもこの日は、2年前に他界した久米一正元GMの誕生日。11年ぶりにGMとして清水に復帰し、改革に取り組んでいたが志半ばで急逝された。久米元GMを失った清水は翌シーズンには残留争いに巻き込まれ、最終節で残留を決めて今シーズンを迎えることになったが、クラブ改革を引き継いだフロントとともに、久米元GMもこの新生清水の初勝利を天国で喜んでくれているだろう。
下舘浩久
しもだて・ひろひさ/1964年、静岡市(旧清水市)生まれ。地元一般企業に就職、総務人事部門で勤務後、ウエブサイト「Sの極み」(清水エスパルス応援メディア)創設者の大場健司氏の急逝に伴い、2010年にフリーランスに転身。サイトを引き継ぎ、クラブに密着して選手の生の声を届けている。