清水の初勝利導いた“高精度キック” クラモフスキー采配的中、セットプレーから“4発”圧倒
【J番記者コラム】大分に4-2で勝利し開幕7戦で今季初勝利 西澤のキックが4ゴールを生む
前節でサガン鳥栖に1-1で引き分けて連敗を「5」で止めた清水エスパルスが、26日に行われた第7節大分トリニータ戦で今シーズン初勝利を挙げた。ここまで第3節セレッソ大阪戦(0-2)の完封負け以外は得点するものの追加点を奪うことができず、逆に複数失点を喫して勝利を逃していたが、この日は4ゴールを挙げて勝ち点3をつかみ取った。
ピーター・クラモフスキー監督は、怪我以外では不動の左サイドバック(SB)として起用していたDF奥井諒を外し、DFファン・ソッコを鹿島アントラーズ時代の2016年天皇杯決勝の後半以来となる左SBで起用した。清水では今シーズンになって右サイドバックの練習をしたことはあったが、左では目にすることはなかった。また、FWカルリーニョス・ジュニオを3トップの真ん中で初先発させ、左にはMF西澤健太を配置したが、この3人の起用がズバリ的中した。
前半41分の先制点は、CKからファン・ソッコが頭で2シーズンぶりとなるゴールを決めた。後半12分には待望の追加点を、これもCKからMFヘナト・アウグストの折り返しをカルリーニョス・ジュニオが押し込んだ。そして、その後に2点を追加したが、その4得点のすべてがセットプレーからであり、その精度の高いボールを入れたキッカーは西澤が務めていた。また西澤はチーム最多となる5本のシュートも放っており、第5節ヴィッセル神戸戦(1-3)での途中出場からの今シーズン初ゴールが、良いキッカケとなっているようだった。
ここまでのリーグ7試合で一度も同じ11人を先発で起用していないクラモフスキー監督は、「バランスとチームにとって何が一番良いかを考えてメンバーを組んでいる」と話していたが、7試合目でようやく結果が出たことになった。
大分は前半、清水がボールを持っても強いプレスに来ることがなく、最終ラインも深いため清水にとっては組み易い相手になったこともあったが、大分の総シュート数を4本に抑え終始ペースを握る展開は、「試合をコントロールする」というクラモフスキー監督が理想とする形となった。再開戦後、初めてリードしたまま前半を終えられたこと、そして後半に大分がプレスを強めてきたが雷雨による60分間の中断もあり、仕切り直しができたことは清水にとって精神的に有利に働いた。
下舘浩久
しもだて・ひろひさ/1964年、静岡市(旧清水市)生まれ。地元一般企業に就職、総務人事部門で勤務後、ウエブサイト「Sの極み」(清水エスパルス応援メディア)創設者の大場健司氏の急逝に伴い、2010年にフリーランスに転身。サイトを引き継ぎ、クラブに密着して選手の生の声を届けている。