久保建英の“成長”をマジョルカ地元記者2人が分析 「数年後、欧州で重要な選手の1人に」

セバスティア・アドロベール記者(左)とカルロス・ロマン記者【写真:本人提供】
セバスティア・アドロベール記者(左)とカルロス・ロマン記者【写真:本人提供】

批判された試合からの圧倒的な成長スピード 来季必要なのは「年間30試合以上に出ること」

 久保が“危機”を迎えていたというのは、昨年11月3日の第12節バジャドリード戦。アウェーでのこの試合で久保は先発出場したものの、見せ場を作れず後半23分に交代、チームもいいところなく0-3で敗れた。アドロベール記者は「この時、久保に対し批判があった。リーグ前半戦、彼はプレーの最後のところで焦りからパスやシュートの判断を誤るケースがあった。見ている者にとって、そういったストレスが最高潮に達し、起用を疑問視する声が出ていた」と記憶している。

 しかし、そこからの立て直しの早さ、成長スピードは圧倒的で呆れるほどだった。続く第13節、ホームのビジャレアル戦で先制点につながるPKを奪取したほか、スペインリーグ初得点となるミドルシュートを決めている。

「ベティス戦(25節/3-3)、エイバル戦(27節/2-1)で決定的なゴールを決め、アウェーで結果を出せないチームに勝ち点をもたらしたプレーは素晴らしかった。でも彼の能力が手のつけられないほどのものになったのは、(新型コロナウイルスによる中断を受けての)リーガ再開後。アトレティコ・マドリード戦(34節/0-3)ではチームは敗れたものの、味方はもちろん、敵をはるかに超越する存在感を発揮していた。アウェーチームが萎縮するほどの威圧感のあるワンダ・メトロポリターノでそれをやったのだから、その意味はさらに大きい」(アドロベール記者)と評価している。

 少しばかり見方に違いがある両者だが、来季の去就については再び意見が一致している。

「理想的なのは、もう一度レンタル移籍して試合に出続けること。レアル・マドリードへ戻ってもプレーは保証されないからね。ただ怪我さえしなければ数年後、彼はヨーロッパで重要な選手の1人になるだろう」とはロマン記者。アドロベール記者も「彼に必要なのは年間30試合以上に出ること。セビージャのような中堅クラブでやるのが良いと思う。テクニック重視のスペインで続けていけば、もっと成長できる」と予想している。

 仮に1部に残留していれば、今頃は期限付き移籍延長の可能性をいくらか残していただけに、実際に2部落ちが決まった今、残念な気持ちで久保の背中を見送ることになるマジョルカ。それでも世界的な選手になった時に「クボは俺たちのチームでデビューしたんだぜ!」と自慢する日が来ることを、この島の人たちは待っている。
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(島田 徹 / Toru Shimada)



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島田 徹

1971年、山口市出身。地元紙記者を経て2001年渡西。04年からスペイン・マジョルカ在住。スポーツ紙通信員のほか、写真記者としてスペインリーグやスポーツ紙「マルカ」に写真提供、ウェブサイトの翻訳など、スペインサッカーに関わる仕事を行っている。

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