「レアルやバルサを目指したい」 田中陽子、海外で芽生えたビッグクラブ挑戦への思い
「いろいろ感じながらサッカーも生活もできて、成長度合いは若い頃よりも高い」
田中は日本のなでしこリーグで7年半経験を積み、スペインへと渡った。若い頃から海外志向が強かったが、総合的に考えると「今のタイミング(での挑戦)で自分的には良かった」と語る。
「私は現実タイプで、自分はこうなりたいみたいな理想はあまりないんですけど(笑)、海外で1年プレーして思うのは、以前の自分だったら一つだけに集中して突っ走るので、感じることも一つでした。でも、今は心にゆとりを持って、いろいろ考えたり、感じながらサッカーも生活もできるようになったし、成長度合いは若い頃よりも高いと思っています。もともと海外に行きたいと思っていたので、自分の中では嬉しい流れだなと。すべての面を含めて、心が充実しているなかで挑戦できる日々に幸せを感じます。
言葉も食べ物も環境も違うなかでトレーナーや栄養士がいるわけでもなく、全部自分でやらないといけないのは大変でしたけど、今ではだいぶ慣れたので、次のシーズンは去年とは違うスタート位置から臨めます。自分がレベルアップすればその先も見えてきて、自然と(日本)代表にも選んでもらえるようになると思うので、どのチームでも、どんな状況でも活躍できるような選手になりたいですね」
ウエルバ移籍は2019年のシーズン途中に決まり、海外挑戦1年目を終えて帰国後は新型コロナウイルスの影響もあるため、応援してくれるファン・サポーターと直接交流が図れない状況が続いている。田中は自分からも情報発信していくこと、そしてさらなる成長を誓う。
「スペインに行ってしまったので日本で会える機会もないし、皆さん今はすごく大変な状況だと思います。私もスペインに行って感じたことをもっと発信していきたいですし、それが何か皆さんの力になれたら嬉しいです。その目標に向かって頑張っていくので、応援よろしくお願いします!」
かつて一世を風靡したヤングなでしこの一員だった田中は、様々な経験を通してプレーヤーとして、一人の人間として円熟味を増した。スペイン2年目のシーズンで彼女がどんな新たなストーリーを描くのか、楽しみは尽きない。
※取材はビデオ会議アプリ「Zoom」を使用して実施。
(FOOTBALL ZONE編集部・小田智史 / Tomofumi Oda)