「レアルやバルサを目指したい」 田中陽子、海外で芽生えたビッグクラブ挑戦への思い
【インタビュー後編】パンデミック下の緊迫感で覚えた不安と衝撃…激動だった1年目
2019年夏にスペイン女子1部スポルティング・ウエルバに移籍したMF田中陽子にとって、2019-20シーズンは激動だった。
サッカー以外の面で、語るのを避けて通れないのが新型コロナウイルスの感染拡大だ。スペインは3月下旬から4月上旬にかけて感染者が急増し、一時アメリカに次いで世界2位の数字(7月16日時点で世界12位)にのぼる深刻な状況に陥った。3月14日付けで政府から非常事態宣言が出され、リーグ戦も中断(5月6日に打ち切りが決定)となった。
田中は外出自粛中、日本でも経験したことのない出来事に異国の地で直面し、「不安はすごく多かった」と明かす。
「スペインは非常事態宣言が出て、そこから生活が一変しました。感染者数も死者数もどんどん増えていって、街に全然人がいないし、警察官が街中を見回っている状態。雰囲気から緊迫感が伝わってきて、細心の注意を払いながらも、どうなるか分からない不安でいっぱいでした。怪我は予想できても、パンデミック(世界的大流行)は想像できなかったので。流れになんとか対応していく感じで、とにかく衝撃でした」
海外挑戦1年目は、人生初の負傷交代やシーズン打ち切りに少なからずショックはあったというが、期待を抱いて向かったスペインの地はやはり刺激的だったという。
「スペインは明るくて、フレンドリーで優しい。パーティー好きでラテンな感じです。最初は誘われることに全部乗っていたんですけど、徐々に試合を積み重ねていった時に私は落ち着きたいタイプなので、途中からノリが悪くなりました(笑)。私生活でたくさん友だちや、家族みたいによくしてくれる存在ができたので、行って良かったなと思います」