横浜FM、高まらない“チーム力”の最大値 4-0大勝も…額面通りに受け取るのは「危険」
気がかりな負傷者の増加、今が序盤戦の勝負どころか
原因はいくつか考えられるが、ここへきて負傷者が増えてきたのは気がかり。中断期間中にGK朴一圭が右手骨折で、再開初戦でDF實藤友紀が右ハムストリング肉離れで離脱した。さらに前節の鹿島アントラーズ戦でDFチアゴ・マルチンスとFWエリキが負傷したため、横浜FC戦は回避せざるをえなかった。
また、試合前日にMF天野純にアクシデントがあったため、J1初先発のMF仙頭啓矢がぶっつけ本番状態で中盤の一角を担うことに。試合中にはFW仲川輝人が浮かない表情でベンチに下がった。
ここまで1試合も同じ11人で戦っていないのは計算済みなのか、それとも多少なりとも誤算が含まれているのか。おそらくは両方が正しく、指揮官も「怪我をさせないようにしていく」と方針を明かしている。少なくとも選手全員が出揃っていない現状はベストメンバーの選定が難しい。オフ期間や中断期間の積極的な補強で層は厚くなっているが、現時点でチーム力の最大値は昨季終盤のそれに及ばない。
Jリーグ27年の歴史で過去5クラブ(横浜FM含む)しか達成していない連覇への道のりは、決して平坦ではない。それに挑戦する資格を持っているのは“トリコロール”のみ。ならば苦しい試合でもしぶとく勝ち点3を積み上げ、戦力が整う時期を待つことも大切だ。今が序盤戦の勝負どころかもしれない。
藤井雅彦
ふじい・まさひこ/1983年生まれ、神奈川県出身。日本ジャーナリスト専門学校在学中からボランティア形式でサッカー業界に携わり、卒業後にフリーランスとして活動開始。サッカー専門新聞『EL GOLAZO』創刊号から寄稿し、ドイツW杯取材を経て2006年から横浜F・マリノス担当に。12年からはウェブマガジン『ザ・ヨコハマ・エクスプレス』(https://www.targma.jp/yokohama-ex/)の責任編集として密着取材を続けている。著書に『横浜F・マリノス 変革のトリコロール秘史』、構成に『中村俊輔式 サッカー観戦術』『サッカー・J2論/松井大輔』『ゴールへの道は自分自身で切り拓くものだ/山瀬功治』(発行はすべてワニブックス)がある。