ノーカードは妥当なのか? 「ボールにプレーしているのか」から生まれる解釈の違い
横浜FMのDFチアゴ、後ろからのタックルでPK献上も警告なしのシーンを議論
Jリーグでは先週末から、制限付きではあるがいよいよ観客動員が始まった。スポーツチャンネル「DAZN」で配信される『Jリーグジャッジリプレイ』もJ1再開に伴い、7日に配信を再開。14日には再開後2回目となる第8回が公開された。今回は主に「決定機阻止(DOGSO)」が主題だったが、カードの判定に関して、出演者同士で意見が分かれる場面もあった。
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対象のシーンは、J1第4節、横浜F・マリノス対FC東京の一戦での前半14分。FC東京のDF室屋成が右サイドから中央へ折り返し、ペナルティーエリア手前中央付近に走りこんだFW田川亨介に渡る。田川がドリブルでペナルティーエリア内に運んだところを、後方から横浜FMのDFチアゴ・マルチンスが足でタックルして倒してしまった。この試合を務めた東城穣主審は迷わずFC東京にPKを与えたが、チアゴに対してはノーカードの判定だった。
PKの判定に関して言えば、出演者全員が「ファウルでPKだった」と意見が一致。問題はカードを出すべきか否かという点だった。
守備側の反則は、①「決定機阻止(DOGSO)」、②「大きなチャンスとなる攻撃の阻止(SPA)」、③「それ以外」の状況下で、ファウルを犯した選手に対する判定が大きく変化してくる。通常、①は退場、②の場合は警告が与えられる。しかし、PKの場合は3重罰(退場+PK+次節出場停止)を避けるため、一定の条件下で罰則が緩和されることがある。その条件というのが、ファウルを犯した選手が「ボールにプレーしようとしていたか」という点だ。
今回のシーンの場合、田川の左側にDFが1人、前方はGK梶川裕嗣がいたことから①決定機阻止ではないことが分かり、②大きなチャンスとなる攻撃の阻止となる。通常はイエローカードの対象だが、ボールにプレーしようとしていた場合はノーカードに軽減される。この場面、チアゴはボールにプレーしようとしていたのか。
番組内では、意見のバラつきが起こった。FIFA・AFC・JFA審判インストラクターの深野悦子氏は、「後方からチャレンジはしていますけれども、足の裏を見せているわけでもなく、前を走っている選手に後ろからチャレンジすればトリップしてしまう結果になると思います」と、あくまでボールにプレーした結果だと判断した。
しかし、これに対してMCの桑原学氏は「スライディング行ったとき、ボールに全く届いていなくてもチャレンジしたと取ってもらえることは多いですよね」と見解を述べる。これに共感したのは、「Jリーグウォッチャー」として出演している平畠啓史氏だ。「全く同じことを考えていました」と苦笑いで話した。
深野氏は「スライディングする足がボールの方向へ向いていて、追い付けなくてもプレーしようとする状況であれば、ボールにプレーしようとしたと考えます」と補足したが、依然として2人はどこか納得できない様子。視聴者側と、レフェリー側で感覚の違いが出た一幕だ。