“J1王者”横浜FM、なぜ開幕ダッシュに失敗? 「4戦フル出場0人」が示す連覇への土台作り

交代する選手を称えるポステコグルー監督【写真:高橋学】
交代する選手を称えるポステコグルー監督【写真:高橋学】

8月中旬以降に公式戦15連戦…戦力の底上げは必須

 今後、15年ぶりの優勝を成し遂げた昨季のメンバーが重要な役割を担うのは間違いないが、その面々だけでJ1リーグ連覇を達成できるはずがない。さらにAFCチャンピオンズリーグが10月後半から11月前半にかけて集中開催されることが決まり、8月中旬以降は中2~3日での公式戦15連戦(ルヴァンカップ準々決勝1試合を含む)が確定している。

 こうして考えていくと、今はまだギアをトップに上げる必要がない。4カ月以上も公式戦から遠ざかっていたコンディションを鑑みても、目の前の試合に勝利することを目指しつつも負傷のリスクを軽減しなければならなかった。同時に多くの選手をピッチに送り込むことで、実戦を通してチーム作りができる貴重な機会だったのかもしれない。

 今週末の鹿島アントラーズ戦からは、再び中3日での3連戦が組まれている。「選手たちをしっかり守って、怪我なくやっていきたい」と語ったポステコグルー監督は、ここでもターンオーバーを活用しながら戦っていくのではないか。もちろん、3人から5人に増えた交代枠もポジティブに作用するだろう。

 目先の結果だけを追い求めるならば、勢いと強さが同居した昨季終盤のメンバーを中心に編成すればいい。それは難しいことではなく、目に見える結果を残したのだから異論反論も出ないはず。ただし、中長期的な視野を持った時の施策やマネジメントは別問題だ。

「自分たちのサッカーを続けることが一番大事」

 リップサービスする気など毛頭ない指揮官はそう繰り返す。この大前提を最後まで貫くために、今はその時々でベストの11人を選んでいく。

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藤井雅彦

ふじい・まさひこ/1983年生まれ、神奈川県出身。日本ジャーナリスト専門学校在学中からボランティア形式でサッカー業界に携わり、卒業後にフリーランスとして活動開始。サッカー専門新聞『EL GOLAZO』創刊号から寄稿し、ドイツW杯取材を経て2006年から横浜F・マリノス担当に。12年からはウェブマガジン『ザ・ヨコハマ・エクスプレス』(https://www.targma.jp/yokohama-ex/)の責任編集として密着取材を続けている。著書に『横浜F・マリノス 変革のトリコロール秘史』、構成に『中村俊輔式 サッカー観戦術』『サッカー・J2論/松井大輔』『ゴールへの道は自分自身で切り拓くものだ/山瀬功治』(発行はすべてワニブックス)がある。

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