W杯“拡大路線”と「密」状態へのリスク 26年大会から48カ国へ…コロナ禍が鳴らす警鐘
16カ国開催時代のW杯は、今よりも格段に「濃密だった」
逆に東京五輪は、改めて世界へ向けて巨大イベントを開催するリスクを知らしめた。ウイルスや自然災害は唐突に襲ってくる。五輪が来年開催されるかどうかは未知数だが、今後こうして中止になり巨大損失を被るリスクを承知でW杯や五輪開催に手を挙げる国が出てくるのだろうか。
1978年以前の16カ国開催のW杯は、個々の試合の持つ意味が格段に深かった。一方で各大陸では、本大会に出場するための厳しく濃密な戦いが繰り広げられていた。それで十分ではないだろうか。
(加部 究 / Kiwamu Kabe)
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加部 究
かべ・きわむ/1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。