教え子の成長に“丁寧に寄り添う” 部活指導で痛感した「休ませることの大切さ」
成長期に移動に時間を割かれると、疲弊して体が大きくならない
アビスパ福岡やサガン鳥栖のアカデミーで指導をしている頃は、「グラウンド探しに追われ、駐車場でトレーニングをすることもあった」という。成長期に移動に時間を割かれる選手たちは、疲弊してなかなか体が大きくならなかった。
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それに比べれば、山梨学院の環境は恵まれていた。寮とは目と鼻の先に人工芝のピッチがあり、練習を終えて食事、入浴を済ませ、点呼を取ると消灯になる。
「そのまますぐに寝なかったとしても、体を休めることはできる。電車移動で時間を取られるよりは、食事も含めて体が大きくなる要素は多かったと思います」
実は今回のコロナ禍で、アルビレックス新潟もしばらく活動を休止していた。
「久しぶりに会って、大きくなったと感じる選手が多かった。当然縦だけではなく、横に広がった選手もいるわけですが、改めてスタッフも休ませることの大切さを実感していました」
吉永には3つのJクラブアカデミー、さらにはいわゆる街クラブ、そして高体連での指導経験がある。次回はそれぞれの置かれた状況を検証したうえで、利点や改善点などを明確にしていく。(文中敬称略)
(第4回へ続く)
(加部 究 / Kiwamu Kabe)
加部 究
かべ・きわむ/1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。