五輪世代MF井上潮音、J再開戦の“リスタート”とさらなる決意 「さらに進化するためには…」
存在感を存分に発揮も…結果には満足せず「数字を残せれば、もう一つ上のレベルに行ける」
開始3分で早々に失点を喫した東京Vは、自陣に引いた町田に対して一方的にボールを支配するが、そのなかで井上は出色のパフォーマンスを見せる。前半9分、ペナルティーエリア内に走り込んだ小池純輝にスルーパスを通してシュートを引き出す。同18分、ドリブルでペナルティーエリア内をえぐってクロスを試み、CKをゲット。同22分にはボールを持ちながら引いてきた井出遥也と入れ替わって前線に進出し、端戸仁のフリックを受けて強烈なミドルシュートを放った。
指揮官が「もう1人のフリーマンという非常に難しい仕事を、特に前半は素晴らしいパフォーマンスだった」と称えたように、中盤のコンダクターとして後半33分までプレー。ドローに終わったものの、前後半通じてボール支配率74%を記録した試合に大きく貢献した。
「開幕戦に出ていなかったので、試合を半年以上していなかった。この緊張感は何にも代えられないものがあるし、やっぱりここに立ってる時間が、自分の中で一番好きな時間だと改めて思いました」
試合に出た。存在感も十分に発揮した。記憶を反芻するかのように、柔らかい表情で語った井上だが、もちろん引き分けに終わったこと、自身が得点に絡めなかったことに満足はしていない。
「数字を残せれば、もう一つ上のレベルに行ける。今までできてこなかったところなので、さらに進化するためにはそれが必要だと思っています」
遠ざかり、消えつつあった東京五輪という目標も、メンバー選考に1年の猶予が与えられた。この日、井上潮音は、確かにリスタートの一歩を踏み出した。