クラブW杯出場の31歳DF、不慮の事故で“失明危機” 「可能性は1%」の奇跡に懸けた思い
帰国後、医師から伝えられた回復の可能性は「1%か2%」
「ニュージーランドの医師には飛行機に乗っていいと言われたけど、乗ったらめちゃくちゃ気分が悪くて、機内では目が痛くなったり、しばらく吐き続けたりした」
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帰国後、すぐに横浜の眼科で診察を受けた。網膜剥離が2カ所ほど、傷がついただけで治療が難しいとされる黄斑膜には穴が開いていた。医師から伝えられた言葉は「日本のどこの病院に行ってもニュージーランドと同じことを言われる。ただリスクを覚悟して手術したら回復する可能性は1%か2%出てくるかもしれない」。それは、奇跡とも言えるほんのわずかな希望を見出すものだった。
「放っておいても失明するだけなので、すぐに手術を受けることを決めた。可能性で言うと(見えることは)めちゃくちゃ少ないと言われているので、それは分かったうえで手術を受けた。普通ならこの衝撃を受けたら眼球が破裂するみたいだけど、それはなくて手術を受けられることになった。それだけは本当に良かった」
6月8日、無事手術を終えた。ただ成功したのかは分からない。術後は眼球を動かすこともできない。松本はドーピングに引っかかることを恐れて痛み止めを飲まず、何時間も激痛に耐えた。さらに、目にガスを入れたため、瞳にガスが当たらないように、2週間、24時間うつ伏せ状態をキープしなければいけない過酷な状況が待っていた。
「下を向いていると、ガスが頭の方に抜けていくけど、上を向いて瞳のほうに上がると白内障になってレンズを取り替えなければいけなくなる。寝返りも打てない」
想像を絶する経験をした松本。現在も暗闇の中、1人で戦っている。それでも、信じられないほど声は明るかった。「絶望した瞬間はなかったのか」。そう問うと、「なかったですね。どんな状況になっても大丈夫」と、言ってのけた。それも、もう一度ピッチに戻ると強く願い続けているからだ。