【松本光平インタビュー｜第1回】昨年12月のクラブW杯に出場した唯一の日本人選手に降りかかった悲劇

　今、この瞬間、必死に戦い続けている選手がいる。31歳のDF松本光平だ。昨年12月に開催されたFIFAクラブワールドカップ（W杯）に唯一出場した日本人選手。オセアニア王者ヤンゲン・スポール（ニューカレドニア）の一員として出場を果たし、バルセロナのレジェンド、シャビ・エルナンデス監督が率いるアル・サッドと対戦した。現在はニュージーランドのハミルトン・ワンダラーズに所属するが、新型コロナウイルスの影響を受けての自粛期間中に不慮の事故に見舞われた。アクシデントにより、現在は右目の失明危機に陥っている。そんな松本が「Football ZONE web」の取材に応じ、「奇跡と戦う今」の状況について語った。

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　突然のことだった。新型コロナウイルスの影響を受けてニュージーランドの自宅で自主トレーニングに励んでいた5月中旬、悪夢に見舞われた。ガレージの壁に取り付けたチューブを使って鍛えている時、留め具が外れて右目を直撃。左目にもチューブが強打した。何が起こったのか、慌てて鏡を見に行くと、なぜか目の前が曇ったまま。鏡を拭いても拭いても曇りは取れず、自身に降りかかった出来事を理解した。

「チューブを引っ張っていたら、留め具が外れた。ゴムなのでパチンコみたいに刺さって右目に金具、左目はゴムが直撃した。当たった瞬間は『眼球が割れた』と思った。周りを見たら全部曇っていたので、左目も見えなくなっていて、ぼやけている感じ。右目は全く見えなくて、左目で生活していたんですけど、色も分かりにくくて、料理中に肉が焼けているかも分からない。しっかり目に焼いたら丸焦げだった」

　すぐに救急でニュージーランド・ハミルトンの病院に搬送され、何度か精密検査を受けた。眼圧が上昇していて飛行機にも乗れない状況。不安を抱えるまま時は経ち、最終的には「手の施しようがない。手術もできない。視力が戻ることはもうない」と、事実上の”失明”を宣告された。その言葉を聞いて、松本は帰国を決意。負傷から2週間後、医師の搭乗許可を得て、日本行きの飛行機に飛び乗った。