大迫所属のブレーメン、ブンデス“残留”へ大一番 低調なFW陣が悪循環を断ち切れるか
【ドイツ発コラム】最下位パーダーボルンとの「絶対に落とせない試合」
年間で争われるリーグ戦の中には、絶対に落とせない試合がある。日本代表FW大迫勇也がプレーするブレーメンにとって、13日に行われる次節パーダーボルン戦は、今季の終着点を左右する大一番になるはずだ。
まず、現時点での順位表を復習しておこう。ブンデスリーガでは17、18位が自動降格、そして16位でシーズンを終えたチームは、2部リーグ3位のチームと入れ替え戦を戦うことになる。
現在ブレーメンは勝ち点25で自動降格圏内の17位。フロリアン・コーフェルト監督も「我々の目標は16位で、入れ替え戦経由での残留だ」と明言しているが、確かにこれまでの戦績とこれからの展望を考えると、それが一番現実味のある目標になる。
一方、16位につけるデュッセルドルフの勝ち点は28。その勝ち点差はわずかに「3」だ。逆転の可能性は十分にある。そのためには足がかりを作ることが重要であり、それが今節可能となるかもしれない。
デュッセルドルフが2位ドルトムントと対戦しなければならないなか、ブレーメンは勝ち点20で18位に沈むパーダーボルンとの対戦を迎えることになる。この試合を勝ちきることができたら、デュッセルドルフがドルトムントに敗れれば勝ち点で並ぶことができ、さらに同節で13位アウクスブルク(勝ち点32)と15位マインツ(勝ち点31)が激突するため、その試合結果によっては残留圏内の15位に勝ち点3差まで迫ることもできるのだ。そうすれば残り3試合のラストスパートを前に、はっきりとしたゴール地点が見えてくる。
もちろん、現時点ではすべてが皮算用。パーダーボルンに勝てなければすべてが狂い、それどころかそこですべてが終わることだってありえる。勝ち点20のパーダーボルンにとっても、残留への細い細い希望の糸を手繰り寄せるためには、何がなんでも勝たなければならないゲームなのだ。
それだけにコーフェルト監督は、あらゆる手段と覚悟でこの決戦に挑む。掴むものは、わらだけではない。膝の十字靭帯断裂で8カ月間戦列を離れていたFWニクラス・フュルクルクが、このパーダーボルン戦でベンチ入りする可能性を示唆している。
中野吉之伴
なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。