サッカー王国の熱よ、再び… 清水、“魅惑のテクニシャン”が放つタイトル獲得への思い
「監督と選手たちで今のサッカーをブレずに信じ続けてやれば必ず達成できる」
バランスと柔軟さ――。実際、中村はFC東京との開幕戦でその難しさに直面した。後半2分にタイ代表FWティーラシン・デーンダーのゴールで先制した清水だったが、FC東京が同10分にFWアダイウトンを投入し、FWディエゴ・オリヴェイラ、FWレアンドロの3トップを形成して反撃に出てきた。ブラジル人トリオの鋭いカウンター攻撃に遭い、1-3と逆転負けを喫したなかで、前に出ていくべきなのか、ボールを保持するべきなのか、チームとしてわずかな迷いがあったという。
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「今年、開幕前の練習試合でリードしている時に、ゲームをコントロールするために一回パスを回しておけという(選手たちの)言葉に対して、監督からは『状況もあるだろうけど、2点目、3点目を取りに行け』『アグレッシブに、相手を完膚なきまでに倒せ』と言われたんです。たしかにそういったメンタルにならなくちゃいけないと改めて思いました。
ただ、なかなか難しいですね。FC東京戦も1-0で勝っている状況で相手が外国籍選手を3トップに並べてきて、取ったボールをカウンターしたいという狙いがぱっと頭の中で分かったので、攻め急いだら必ずやられるから僕の中では保持したかった。でも、それを周囲に伝えきれなかったんです。結局、1失点目、2失点目ともカウンターのような形。開幕で絶対に勝利が欲しい状況で、相手をイライラさせて引き出してから攻めたほうが効率的かなとも思っていました。バランスの判断は今後はっきりさせないといけない課題です」
清水はJリーグ発足時の「オリジナル10」の一つで、“サッカー王国”と呼ばれる静岡県静岡市がホームタウン。中村もファン・サポーターを含めた「街のサッカー熱」を意気に感じると語る。
「子供の頃に見ていたエスパルスは、ポゼッションサッカーが凄いという印象が残っています。市川大祐さん、森岡隆三さん、アレックス(三都主アレサンドロ)、少し後だと小野伸二さん……。ポゼッションする能力に長けていたので見ていて楽しいチームでした。エスパルスのために仕事をしているサポーターの方も多くいますし、そういった方々のためにも熱を呼び覚まして、清水がサッカー王国だと言われるようにしたいと思っています。だったら何が必要かと言われれば、タイトルしかない。エスパルスはまだリーグ戦のタイトルを獲れていません。ただ、クラモフスキー監督と選手たちで今のサッカーをブレずに信じ続けてやれば必ず達成できると思います」
中村が稀代のテクニシャンから、目標に掲げる“勝負を決められる選手”に進化を遂げた時、サッカー王国の復興に向けた勝負のシーズンは一層熱を帯びることになるだろう。
※取材はビデオ会議アプリ「Zoom」を使用して実施。
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(FOOTBALL ZONE編集部・小田智史 / Tomofumi Oda)