“This is フロンターレ”のワンダフルゴール! 川崎スタイルを象徴する齋藤学の連係弾
【J番記者が選ぶスーパーゴール|川崎編】2019年J1第19節FC東京戦(後半9分)…華麗な連係から齋藤学が決めた一撃
川崎フロンターレのゴールを紹介するにあたり、チームプレーで奪った得点を重視した。連係を磨いてきた“フロンターレ”というチームのスタイルを考えると、それが妥当だからだ。
ここ数年のゴールを見返す限り、例えば2018シーズンのJリーグ年間ベストゴールにも選ばれた第30節のヴィッセル神戸戦(5-3)でのMF大島僚太の決勝点や、第33節のFC東京戦(2-0)のFW長谷川竜也の涙の追加点など、印象に残る得点も複数ある。そうしたなか、今回はMF齋藤学が決めた2019シーズン第19節のFC東京戦(3-0)の得点を紹介したい。
この試合、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)のため、試合消化数が1試合少ない3位川崎が勝ち点7差の首位FC東京と対峙した大一番だった。“多摩川クラシコ”として知られるライバルとの対戦に加え、優勝の行方を占う一戦ということもあり、4万2401人を収容したアウェーの味の素スタジアムの雰囲気は素晴らしかった。
そんななか、FW小林悠の先制点により川崎が1点をリードして迎えた後半9分に、齋藤のゴールは生まれた。
まず光るのが緩急の付け方。MF下田北斗の縦パスがスイッチを入れた。負傷者が出たため急きょ先発した下田が「命がけだったので、ほんとに」と振り返る試合で魅せた場面の一つだった。
攻撃モードに切り替わった川崎は一気にスピードアップ。FC東京の守備陣は人数が揃っていたが、背走する選手が複数いたため穴がある状態。その穴を正確に突いたボールは、ゴール正面のMF中村憲剛の足下に入った。
「左で打とうと思ったら3人くらいバッと来て、切り替えして」と、この場面を振り返る中村は、右に持ち替えて打つ素振りを見せつつ右でボールを要求する小林の姿を確認した。
「悠が、(相手DFから)外してくれた」と小林の予備動作に言及する中村は、「そういう動きをするということは誰かがファーに詰めているのだろうなと思って」小林の足下にパスを付けたという。
江藤高志
えとう・たかし/大分県出身。サッカーライター特異地の中津市に生まれ育つ。1999年のコパ・アメリカ、パラグアイ大会観戦を機にサッカーライターに転身。当時、大分トリニータを率いていた石崎信弘氏の新天地である川崎フロンターレの取材を2001年のシーズン途中から開始した。その後、04年にJ’s GOALの川崎担当記者に就任。15年からはフロンターレ専門Webマガジンの『川崎フットボールアディクト』を開設し、編集長として運営を続けている。