レアルとコロナ禍の今夏補強策 最大273億円の減収…久保の去就と“大物獲り”の行方は?
久保はもう1年、レンタルに出される可能性が高いが…
得点力不足解消のため、ジダンが以前から切望しているパリ・サンジェルマン(PSG)のフランス代表FWキリアン・ムバッペについては、経済的事情ですでに今夏の獲得を断念したと報じられている。もう1人の候補であるドルトムントのノルウェー代表FWアーリング・ブラウト・ハーランドについても、1億2000万ユーロ(約142億円)以上の移籍金が必要とされるため、困難を極めることになる。
レアルはまた、ラモスとDFラファエル・ヴァランを補うために、RBライプツィヒのU-21フランス代表DFダヨ・ウパメカノ、替えのきかないカゼミーロを休ませる存在としてレンヌ所属のU-21フランス代表MFエドゥアルド・カマヴィンガを獲得候補に挙げている。
その他のポジションは、期限付き移籍中の選手たちでカバーすることになりそうだ。MFマルティン・ウーデゴール(レアル・ソシエダ)とDFアクラフ・ハキミ(ドルトムント)の復帰が濃厚で、それぞれ中盤と右サイドバックを強化する。
一方、日本代表MF久保建英(マジョルカ)はもう1年、期限付き移籍に出される可能性が非常に高い。その大きな理由はブラジル人選手たちで占められるEU圏外枠にある。そして最近、様々なメディアでレアル・ソシエダやベティスへの期限付き移籍、PSGへの完全移籍の可能性が報じられている。しかし、レアル寄りのスペイン紙「AS」や「マルカ」、マジョルカの地元紙は特に伝えていないため、それらの報道が信用できるものかは分からない。
レアルはリーグ戦再開後、初戦でMF乾貴士を擁するエイバルとホームで対戦する。しかし無観客で開催されるため、改修工事中のホームスタジアム、サンティアゴ・ベルナベウを使用せず、Bチームのカスティージャが本拠地にしているシウダー・レアル・マドリード併設のアルフレッド・ディ・ステファノ・スタジアムで行うことを検討している。
ジダン監督率いるメンバーはリーガが定めたプロトコルにより、まだ全体練習を実施できていないものの、再開に向けて着々と準備を進めている。レアルの目標は勝ち点2差で首位のバルセロナを逆転することだ。
ジダン監督は「我々にはまだ11試合残されている。シーズンを力強く、いい形で終えるための準備をするつもりだ。最終的に大事なのは、何かを勝ち取るために全力を尽くすこと。それこそが、このクラブのDNAだ」と語る。
もう間もなく、スペインのシーズンが再始動する。
(高橋智行 / Tomoyuki Takahashi)
高橋智行
たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。