もっと上手くなりたい―― INAC京川舞、勝負の9年目に見据える“完成形の自分”
「海外のクラブチームと対戦しても勝てるくらいのレベルに持っていきたい」
エンゲルス新監督の下でチーム作りを進める最中、新型コロナウイルスの影響で活動休止となったが、京川にとってはなでしこリーグ入り当初のような“ガムシャラさ”を思い出すサッカースタイルだという。
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「ゲルト監督には、最初に『もっと遠くを見ろ』と言われました。ポゼッションの練習で、去年、一昨年までの感じで手前からワンツーで剥がしに行った時に、(目の)前しか見ていないから視野を広げるように、と。クロスの練習も増えて、ポゼッションだけじゃなくて、行けるところではスピードを上げて自分で行ってもいいんだなという印象です。INAC加入1年目はワンタッチゴールを決めるシーンも多かったんですけど、緩急でゴール前に飛び込むプレーを思い出したので、自分がFWで出られたらチャンスも多いと考えています」
常盤木学園高や年代別代表で活躍し、2012年にINACに加入した京川も9年目を迎えた。開幕4試合5ゴールと好スタートを切ったルーキーシーズンの2012年、左膝内側靱帯および半月板損傷、前十字靭帯断裂の大怪我を負うなど、これまでのキャリアは決して順風満帆ではなかった。「最初にイメージしていたものとは全然違うものになっている」と明かす一方で、「刺激的で楽しい」と言い切れるだけの精神的な強さが今の彼女にはある。
「この9年間は早かったですね。怪我をしたことで自分との対話が増えたし、日々の繰り返しもマンネリと思わないくらいたくさんの出来事があって、毎日ワクワクがある。ブチさん、鮫さん(鮫島彩)、美南らなでしこジャパンの選手が入ってきて、代表に近い環境になったことがすごく刺激的で、世界を見据えてプレーできるのが楽しいし、何よりINACという素晴らしい環境に身を置けているので本当に充実しています」
今後の目標を聞くと、「もっともっと上手くなりたいとしか思ってないです!」と少女のような笑顔で即答する京川。「練習したいので、今のステイホームがこしょばいですね」と本音を覗かせる。
「INACが優勝することがなでしこリーグ、女子サッカー界の活性化につながると思います。ただ、それを日本だけに終わらせるんじゃなくて、海外のクラブチームと対戦しても勝てるくらいのレベルに持っていきたい。攻守にわたって献身的なプレーで戦い続けながら、先頭に立ってチームを引っ張るような気持ちでやっていきたいです」
円熟味を増し、心身ともに充実の時を過ごす京川は、さらなる高みを目指して静かに牙を研ぐ。
※取材はビデオ会議アプリ「Zoom」を使用して実施。
(FOOTBALL ZONE編集部・小田智史 / Tomofumi Oda)