“超攻撃的DF”闘莉王の流儀 「凡人」を「闘将」に変貌させたものとは
「並みの人間」と語る男が自負する、誰にも負けない向上心
田中マルクス闘莉王という名前を聞いた時、人々は一体何を想起するのだろうか――。
最終ラインで時に厳しくチームを鼓舞する勇壮な”闘将”らしさか。あるいは攻撃参加や、空中戦の強さ。そして、重要なゴールを決める”超攻撃的DF”という特異なプレースタイルかもしれない。
34歳にして日本サッカー界を最前線でけん引する闘莉王は、自らを「凡人」と表現する。
「自分は並みの人間だよ。なにか、ズバ抜けてるものは何もない、何もないよ。なぜなら、足が速いわけでもない。体がすごく強いわけでもない。ヘディングに関しても、自分よりも強い人はたくさんいる。シュートもうまいわけでもない、1対1が強いわけでもない」
傑出するものは何もないと言うのだ。日本代表などでは、圧倒的なエアバトルの強さをフィールド上で見せつけてきた。それでも、ヘディングでパブリックイメージほどの突出した強さはないと語った。率直がモットーの男にしては、珍しい謙遜さなのかもしれない。だが「凡人」にも、誰もが持ち合わせていないと自負するものがあるという。
「並の選手だけど、誰も持ってないものを自分は持っている。何があっても必ずうまくなりたいという気持ち。できないことを仕方ないなんて思わない、学ぶ力というものは誰よりも持っている。日本に来てから20年近く経った。ここまでサッカーができるかなんて、当時は思ってない。誰も想像しなかった。一番応援してくれているお父さんですら思ってなかった」