「チーム愛の熱量が違う」 メキシコに学ぶ“女子プロリーグ”成功の鍵、現地日本人の視点

メキシコでは男子の1部リーグの全チームが、女子チームも持つことを義務付けられている【写真:福岡吉央】
メキシコでは男子の1部リーグの全チームが、女子チームも持つことを義務付けられている【写真:福岡吉央】

“クラブ愛”を貫くサポーター、ティグレス女子は1試合平均1万人以上を集客

 強化を目的としたルールの整備が、このリーグの一つの特徴だ。1年目の17-18シーズンは主にU-23のリーグとして設立され、各チーム24歳以上の登録は2人まで。U-17の選手4人の登録が義務付けられていた。そのため、リーグの選手の平均年齢は20.1歳だった。

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 18-19シーズンはオーバーエイジ枠が4人に増え、3シーズン目の後期となった今年は、1992年以前に生まれた選手は各チーム登録6人まで。2001年から03年生まれの選手を計1000分起用しなければならず、1試合で出場時間を計上できるのは180分まで。これまではアメリカで育ったアメリカ系メキシコ人の登録は認められていなかったが、今季からそれも認められるようになった。

 目を見張るのが、リギージャと呼ばれる決勝トーナメントの観客数の多さだ。過去最高は17-18年シーズン後期の決勝で、モンテレイでの“クラシコ”となったモンテレイ対ティグレス戦は、男子顔負けの5万1211人の観客が観戦に訪れた。

 リーグ戦の平均入場者数は、17-18シーズンは前期が約2800人(一部データ不明のため概数で算出)、後期が1959人、18-19シーズンは前期が1761人、後期が1825人、19-20シーズンは前期が2229人、後期が2417人(新型コロナウイルス感染拡大防止のための中断期間までの数字)。チーム別の平均入場者数では、ティグレスが18-19シーズンの前期が1万322人、後期が1万810人、19-20シーズンの前期も1万3604人と、リーグのトップを走る。19-20シーズン前期の2位はアトレチコ・デ・サン・ルイスの6874人、3位はパチューカの5295人。一方、最下位はベラクルスの239人と開きがあるが、リーグ全体を見ると開幕当初よりは集客が落ちているものの、19年からは回復傾向にあり、単なるブームではなく、徐々に女子サッカーが浸透してきているのが分かる。

 特にリギージャで盛り上がるのが、クラシコや強豪チーム同士のカードだ。特に男子のシーズンチケット購入者の割合が多いモンテレイやティグレスは、毎回数万人のサポーターが女子の応援に駆けつける。昨年、1部リーグのケレタロで女子のコーチも務めた現U-20アシスタントコーチ兼U-14監督の塩沢拓也氏は、「女子の観客数は元々のチームの人気と比例する。クラシコになったら、男子だろうが女子だろうが関係なく注目が集まる。女子の試合でも、同じチームの仲間を応援してサポートしようとなる」と話す。サポーターにとって、“クラブ愛”は男子も女子も関係ないのだ。

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