「チーム愛の熱量が違う」 メキシコに学ぶ“女子プロリーグ”成功の鍵、現地日本人の視点

2018年U-17女子W杯で史上最高の準優勝。若手育成に力を入れている【写真:Getty Images】
2018年U-17女子W杯で史上最高の準優勝。若手育成に力を入れている【写真:Getty Images】

メキシコ女子代表の強化を目的に2017年夏にプロリーグが開幕

 2021年に現在のなでしこリーグ(日本女子サッカーリーグ)とは別に、プロリーグが開幕する予定の日本の女子サッカー界だが、成功を収めるためには何が必要なのだろうか。17年夏に開幕し、徐々に底上げを進め、プレーオフ決勝に5万人以上の入場者を集めるなど、国内女子サッカー全体のレベルを上げているメキシコの女子プロリーグから、成功のためのヒントを探った。

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 メキシコで女子プロリーグが開幕したのは17年夏。それまでは全国リーグや日本の皇后杯にあたるトーナメントもなく、各地で地域リーグが行われていたに過ぎなかった。だが、サッカー連盟のトップダウンにより、男子の1部リーグに所属するクラブに女子チームを持つことを義務化。男子1部と同じチームが女子リーグを戦う形で設立された。

 これには、女子の代表チームを強化するという目的があった。現在、北中米カリブ海地区の女子ワールドカップ(W杯)出場枠は「3.5」で、五輪が「2」。だが、同地域にはアメリカ、カナダの2強が君臨するため、CONCACAF(北中米カリブ海サッカー連盟)内で3番手グループに位置するメキシコにとって、本戦出場権の獲得は容易なことではない。

 実際、五輪出場は04年の一度だけ。今回の東京五輪予選も準決勝でアメリカに0-4で敗れ、あと一歩のところで出場権を逃した。W杯は過去8大会中、3度出場しているが、まだ1勝もできていない。03年、07年は大陸間プレーオフで日本に敗れ、出場権を獲得できず。11年もグループリーグで日本に0-4で敗れたことが響き、2分1敗で大会を後にした。

 一方、アメリカは五輪では過去6大会すべてに出場し、優勝5回、準優勝1回。W杯も2連覇中で優勝4回、準優勝1回、3位3回と、8大会すべてでメダルを獲得している。カナダも五輪では直近の2大会で連続3位、W杯も7大会連続出場中で、03年4位、15年8強、19年16強と近年強さを発揮しており、この2強がメキシコの前に大きく立ちはだかっている。

 こうした事情もあり、代表強化のために設立されたメキシコの女子プロリーグ。開幕当初はチーム間にレベルの差があり、5点差以上の点差がつく試合も毎節のようにあった。時には12-1という試合もあったが、各チームのレベルが拮抗してきた今では、多くの試合が2点差以内のゲームとなっている。

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