元Jリーガーも懸念「致命的な危険が訪れる」 韓国選手協会、同意なき給与削減に反対

かつてガンバ大阪でプレーをした蔚山現代のFWイ・グノ【写真:Getty Images】
かつてガンバ大阪でプレーをした蔚山現代のFWイ・グノ【写真:Getty Images】

新型コロナの影響で厳しさを増すKリーグ、イ・グノ会長、パク・チュホ副会長ら選手協会が意思表明

 韓国プロサッカー選手協会が理事会を開き、Kリーグクラブに所属する選手たちの同意なしに年俸を削減することに反対するとの意思を表明した。韓国の総合ニュースサイト「イーデイリー」が報じている。

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 新型コロナウイルスの感染拡大による試合延期でクラブ経営が厳しさを増すなか、選手に支払われる年俸の削減についても取り沙汰されている。そうしたなかビデオ会議で行われた理事会では、「2019年の事業報告と2020年事業計画に加え、コロナの影響によるサッカー選手の給与削減について議論が交わされた」という。

 同協会の会長は、日本でも馴染みのある元Jリーガーのイ・グノ(蔚山現代/元ガンバ大阪ほか)、副会長はパク・チュホ(蔚山現代/元ジュビロ磐田ほか)が務めており、海外理事にチョン・ソンリョン(川崎フロンターレ)なども含まれている。イ・グノは「サッカー界は欧州リーグを中心に、サッカー選手たちの契約の安定性に対する問題が浮上している。まずコロナによる損失がどれくらいのものなのかを、正確に把握する必要がある」と語っている。

 また、パク・チュホは「選手協会がどのような結論を出したとしても、選手たちの考えは違うもの。最も重要な点は、どんな場合にも選手の年俸削減に対して強要があってはならない」と明かしたという。また、「特に年俸の低い選手の場合は、いかなる形での給与削減も生活に致命的な危険が訪れる」と語ったという。

 すでにKリーグでは、いくつかのクラブで役職員らの給与削減が決定しており、選手たちにもそうした影響が及ぶ可能性も否定できない。イ・グノは「選手たちの声にもっと耳を傾ける必要がある」と強調し、ベストな解決策を見つけ出すために努力するとしている。

 選手たちの生活が脅かされないよう真剣に議論し始めた韓国の選手協会。しかし、今の状況が長引けば、より難しい選択を迫られるのは間違いない。

(金 明昱 / Myung-wook Kim)



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金 明昱

1977年生まれ。大阪府出身の在日コリアン3世。新聞社記者、編集プロダクションなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めた後、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。2011年からは女子プロゴルフの取材も開始し、日韓の女子ゴルファーと親交を深める。現在はサッカー、ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。近著に『イ・ボミ 愛される力~日本人にいちばん愛される女性ゴルファーの行動哲学(メソッド)~』(光文社)。

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