「本番に強い選手を育てる」 メキシコのタフな“育成ピラミッド”、現地日本人コーチが解説
現地で指導する3人の日本人指導者が語る、メキシコの独特な育成システム
ここ10年、メキシコでは若手の各世代が年代別の世界大会で好成績を収め続けている。U-23代表は2012年のロンドン五輪で優勝。U-20代表も11年のU-20ワールドカップ(W杯)で4強、17年には8強に進出した。U-17代表の活躍はさらに目覚ましく、U-17W杯で11年優勝、13年準優勝、15年4位、19年準優勝と、直近5大会で3度メダルを獲得している。
その強さの秘訣は一体どこにあるのか――。現地で指導者を務める日本人コーチ3人に話を訊いた。彼らが口を揃えて指摘したのは、リーグのシステムと育成のピラミッド制度。力のある若手が成長していきやすい同国リーグの仕組み、そして若手育成システムにスポットを当てた。
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メキシコはA代表のW杯最高成績がベスト8ながら、年代別代表は華々しい成績を収めている。特に2年に一度開催されているU-17W杯の成績は目を見張るものがあり、過去8大会では4度決勝に進出した。
メキシコでは年代別代表選手のほとんどが、国内1部クラブに所属している。それは国内1部リーグのルールで、1部のクラブはU-20、U-17、U-15、U-13のチームを持たなければならず、特にU-20とU-17はトップチームと同じ日程で同じ相手とリーグ戦を戦うため、才能のある若手が1部クラブの下部組織に集まりやすいというピラミッド構造ができ上がっているからだ。そして、その年齢区分も国際大会の基準と同じと徹底している。
リーグ戦だけでなく、18チーム中上位8チームが進むことができる「リギージャ」と呼ばれるプレーオフも、U-20、U-17も同様にホーム&アウェーで行われる。若い時から負けられない戦いをより多く経験させることで、代表チームにも本番に強い選手が集まってほしいというメキシコサッカー連盟の意図が反映されているのだ。
リーグは前後期の年2回。ひずみなく、年代ごとに若手が育つようにとトップの1部リーグ、U-20、U-17ではそれぞれ若手起用ルールが設けられており、一つの年代にだけチャンスが与えられることはない。