サッカー選手とマウスガード 元磐田MF太田吉彰、引退後も貫く「誰かのために」の信念
2019年限りで現役引退 磐田アドバイザー就任とともにセカンドキャリアの活動スタート
静岡で生まれ、地元クラブであるジュビロ磐田の下部組織で育ち、キャリアの半分以上を磐田で過ごした太田吉彰氏は2019年限りで現役生活にピリオドを打ち、セカンドキャリアを歩み始めた。古巣・磐田のアドバイザーを務めると同時に、現役時代に愛用したマウスガードをサッカー界に普及させるべく、国内を飛び回る太田氏に思い描く今後へのビジョンを訊いた。
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2002年に磐田のユースからトップチームに昇格した太田氏。史上初めて2ステージを制し完全優勝を果たすなど、Jリーグ史に残るクラブの黄金期を肌で感じるなか、3年目から徐々に出場機会を増やし主力に定着した。07年にはイビチャ・オシム監督が指揮していた日本代表に初選出。09年に海外挑戦のために磐田を退団し、その後ベガルタ仙台で5年間プレーしたのち、15年に古巣・磐田に復帰を果たした。昨季までプロ18年間でJ1通算310試合36得点、J2通算39試合4得点を記録し、昨年12月に現役引退を発表している。
近年、現役時代からセカンドキャリアを見据えた活動を行うアスリートが増えるなか、太田氏自身は「正直、現役中に何かをやろうと思ったことは一度もなかった」という。ただ、サッカー界に恩返しがしたいという思いは明確だっただけに、次のステージに踏み出すのにそう時間はかからなかった。
「今は現役中から何か取り組みを始めることも多くなってきた時代です。それを否定はしませんが、僕自身はサッカーだけに全力で取り組もうと決めていました。引退する時、不安がなかったかと言えば嘘になります。ラスト2年はカップ戦には出ていましたけど、リーグ戦の出場はない状態。そろそろ引退かな、何をしようかなと思ったこともありましたから。でも、サッカーだけに全力で取り組んで終わった時に考えよう、と言ってくれた方々に支えられてきたなかで、僕の姿勢を見ていてくれて、お話を頂けた。サッカーを18年間やってきて、スポーツ界に恩返しがしたいと考えていたので、すべてがつながっています」
太田氏は今年2月に磐田とアドバイザー契約を締結。地元企業との関係構築やスポンサー探し、トークショーやサッカースクールに参加してクラブの魅力を発信する役割を担う。それと同時に取り組んでいるのが、マウスガードの普及活動と大学アスリートのサポートプロジェクトだ。