南米ペルーのコロナ禍 日本人元Jリーガーが現地の“混乱”証言「生きることで精一杯」
外出禁止を破った逮捕者は3万6000人以上、その多くは貧困層
テレビをつければ、ニュースの話題は新型コロナウイルスに関することばかり。夜8時になると、医療従事者らへの感謝を表す拍手の音が近隣の家庭から聞こえてくる。元ペルー代表MFで、現在ペルー代表でアシスタントコーチを務めるノルベルト・ソラーノ氏が夜間外出禁止を破ったとして警察に連行され、事情聴取を受けたことも報じられた。
あまりに急なロックダウンで国内移動が困難になり、帰国できなくなった日本人観光客ら約260人のうち、約半数は日本に帰国するため、台湾政府や現地の旅行会社が手配したチャーター便でペルーからメキシコ、アメリカに出国。だが、まだペルーに取り残されている人もいる状況だ。
外出禁止を破り、逮捕された人の数は3万6000人を超えた。その多くは、道ばたで働いているその日暮らしの貧困層。一部で暴動も起きているが、外出者が減ったことで犯罪は激減しているという。
「最初の2週間くらいは外で酒を飲んだりしている人もいましたけど、最近はない。皆、生きることで精一杯。貧しい人たちにはお金や食料、水の援助などが行われている。隣のエクアドルからは、死体が多すぎて埋葬できず、道に放置されているなんてニュースも流れてきています」
南米ではスポーツ界でも、コロンビアとアルゼンチンで共同開催予定だったコパ・アメリカが来年に延期となり、クラブの大陸王者を決めるコパ・リベルタドーレスも5月5月までの試合が延期された。リマで今年8月に開催予定だったソフトボールの女子U-18ワールドカップも延期となった。
澤は現在、ペルー人の妻、中1の娘、小4の息子とともに暮らしている。「息子はYouTubeや漫画を見て、一緒にサッカーの練習もしているので、苦ではないようなんですが、娘はせっかくの春休み期間中なのに外に出られず、ストレスを溜めています。嫁も『何をしていいのか分からない』と嘆いています」