クラウドファンディングで女子セリエA挑戦 無名の日本人DFが世界で示す“思いの力”

クラウドファンディングで募り、イタリアのトライアウトに参加【写真:本人提供】
クラウドファンディングで募り、イタリアのトライアウトに参加【写真:本人提供】

クラウドファンディングで2度目の海外挑戦「私だけの夢じゃないと心が熱くなった」

 2018年7月に日本でプレーしようと帰国した加藤だったが、ドイツでの3シーズンはチームが昇格、降格を経験するなかで個人的には不完全燃焼。「結果を残して証明したい」「やっぱり海外で勝負したい」という気持ちが強まった。

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 ドイツで再びチャレンジしようと思っていたなかで、イタリアで挑戦してみないかという話が届いた。しかし、現地への渡航費、クラブチームとの仲介や通訳、サポートなどのエージェント代はもちろんすべて実費。1カ月間のトライアウトに参加し、2019-20シーズンの契約を勝ち獲るためにたどり着いたのがクラウドファンディングだった。

 クラウドファンディング(crowdfunding)は群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語で、インターネットを通して自分の活動や夢を発信し、賛同してくれた人や活動を応援したいと思ってくれる人から資金を募る仕組み。ネット社会となり、ウェブ上でのコミュニケーションや決済が一般的になったことで、近年一気に普及している。

「ドイツに行って、『自分も海外に挑戦したい』『どうやって行ったのか』と、知人を通じて多くの連絡を頂きました。でも実際、海外に挑戦する、あるいは海外リーグでのプレーに至った選手は本当に限られていて、費用の面で夢や目標を諦めざるを得ない人も少なくないと思います。無名の自分なんかを応援してくれている人がいるのかな、という不安な気持ちもありましたが、勇気を出してプロジェクトを立ち上げました」

 “顔の見えない相手”から共感を得て、資金を募るのは想像以上に難しい。プロジェクト中は支援者の情報も一切入ってこない。加藤は今年1月と同6月に計2度、クラウドファンディングでプロジェクトに挑戦。トライアウトを受けるための初回は目標金額45万円で支援総額36万9000円(支援者35人)、セリエA、セリエB、セリエCに所属するクラブの練習に参加した後に契約を勝ち獲りに行った2回目は、目標金額90万円で支援総額64万円(支援者99人)という結果だった。残念ながら目標金額は達成できなかったものの、「挑戦して良かった」と加藤は振り返る。

「ドイツとイタリアの時とでは、全然気持ちが違いますね。ドイツは自分で行っているので、言ってしまえば途中で諦めてしまうこともできたかもしれません。でも、今はサポートしてもらっているので、“ファミリー”というか、1人ではないという気持ちが強い。多くの方々から言葉を頂いて、『私だけの夢じゃない』と心が熱くなりました。私と同じように悩む女子サッカー選手たちに、勇気や刺激、力を与えられたらとも思います」

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