クラウドファンディングで女子セリエA挑戦 無名の日本人DFが世界で示す“思いの力”
大阪体育大出身の加藤みづほ、卒業後に単身ドイツへ「なんの迷いも不安もなかった」
近年、日本の男子選手が海外に挑戦することは珍しくなくなり、A代表の大半が“欧州組”で占められる時代となった。一方で、女子は2011年にドイツ女子ワールドカップで世界一に輝き、FIFAランキングでも11位にランクインしながら、海外挑戦が容易ではない現状が続いている。そのなかで、イタリア女子1部・セリエAでプレーするDF加藤みづほは、なでしこリーグを経由せずにドイツへ渡り、クラウドファンディングでの支援を得て、イタリアでの挑戦権を勝ち獲った異色の存在だ。27歳のサイドバックが描く今後の青写真とは――。
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愛知県出身の加藤は小学生の時にサッカーを始め、15歳まで地元の女子社会人チーム(東海リーグ)でプレー。その後は親元を離れて福井工業大学附属福井高に進学した。大阪体育大時代は2011~14年度の全日本大学女子サッカー選手権にレギュラーとして出場し、最終学年の同決勝(日本体育大戦:結果はPK戦の末に敗れて準優勝)にもフル出場している。
大学卒業後に単身ドイツに飛び、ブンデスリーガ2部の1.FCケルンに入団することになるが、進路を選択する際に、かつて父親からかけられた「海外に行けば?」という言葉に背中を押されたという。
「海外でプレーしたいという思いはずっと持っていました。なでしこリーグという考えもありましたけど、日本に帰ってきてからでも遅くはないだろうなと。海外は早く挑戦しないとできないと思って、ドイツ語もまったく話せない状態のままドイツへ渡りました。なんの迷いも不安もなかったです」
過去にはFW永里優季(現シカゴ・レッドスターズ)、FW岩渕真奈(現INAC神戸レオネッサ)、MF猶本光(現浦和レッズレディース)らなでしこジャパン経験者も挑戦したドイツのサッカーは、“ツヴァイカンプフ”(1対1)を美徳にする傾向がある。加藤もドイツで計3シーズン揉まれ、球際のバトルにおける成長を実感できたという。
「文化も違えば、言葉も価値観も、サッカースタイルもまったく違ったので、体感するすべてが新しくて刺激的でした。サッカーで言えば、ドイツの選手は体格とフィジカルに恵まれていて、1対1が強い。ディレイさせる(相手の攻撃を遅らせる)ためのディフェンスはしません。そこで潰すというか、ボールを取るために前に出ていきます。『なんであそこで(前に)行かなかった?』と言われることもありましたね。でも、ドイツでは球際は成長できたと思います」