「地域リーガー兼YouTuber」の挑戦 27歳のプロ選手が異色のキャリアを歩む理由

「YouTuber」としても活動するVONDS市原FW池田晃太【写真提供:池田晃太】
「YouTuber」としても活動するVONDS市原FW池田晃太【写真提供:池田晃太】

VONDS市原のFW池田晃太、辿り着いた異色のパラレルキャリア

 プロサッカー選手は多様だ。リバプールの日本代表MF南野拓実など欧州のクラブで戦う選手、アジアや南米などにも活躍の場を広げる選手、そして全国56のJリーグクラブでプレーする選手。さらには、JFLや地域リーグにもプロ契約を結んでサッカーをする選手たちがいる。

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 関東サッカーリーグ1部のVONDS市原でプレーするFW池田晃太は、27歳のプロサッカー選手だ。昨シーズン、クラブはリーグ優勝を果たし、彼はチームメートの元日本代表MF山岸智と並んでアシスト王に輝いた。過去には得点王も獲得している。

 そして池田のもう一つの顔が“YouTuber”だ。およそ1年前からアスリートの食事などに関する動画の投稿を始めた。2020年3月現在、チャンネル登録者数は2万人を超え、サッカーだけでなくYouTubeでも収入を得ている。彼はどのようにして、異色のパラレルキャリアに辿り着いたのだろうか。

モラトリアム大学生がプロ入りを決意した“フィギュアスケートの大会”

 池田は高校までプレーしたサッカーを一度は辞め、“普通”の大学生になっていた。3年時には休学し、海外へと放浪の旅に出ようとする。

「よくある20歳前後のモラトリアムで、自分探しの旅をしようかな、と。今考えると安直でした。旅の資金を稼ぐためにいろいろなアルバイトをしているなか、派遣先でフィギュアスケートの世界大会の警備を1週間やったことが転機になりました。

 その時、資金を貯めるためだけにやりたくもないアルバイトをしている自分と、好きなことをやって多くの観衆から応援され、対価を得ているフィギュアの選手たちとの対比に愕然としました。“こっち側”でいたら一生後悔するな、と。物足りなかったんですよね」

 池田はサッカーを再開し、プロになることを決意した。以来、アルバイトで生計を立てながらプレーし、2018シーズンからは現在所属するVONDS市原に移籍。ブランクのある選手としては異例のプロ契約を勝ち取った。

 プロ選手としてプレーできる時間は儚く、不安定だ。翌シーズンもプロ契約ができる保証はないうえに、世界のビッグネームでさえ、大きな怪我でサッカーができなくなることもある。「今契約を切られたら自分は何も持っていない」と危惧した池田は、プロ1シーズン目を終えたオフの2019年1月、YouTubeに動画を投稿し始めた。

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